「教わったものは、3回は変えるな」――父から伝えられた芸の継承
——十二代目團十郎さんから受け継いだ基礎とは、どのようなことでしょうか?
團十郎:たとえば、父からは「教わったものは、3回は変えるな」と言われていました。
「3回」というのは3公演。1公演25回やるとして、つまり75回です。
『与話情浮名横櫛』という演目は、父から教わって初めてやったのが20歳前後。そこで1回、父に言われた通りにやりますよね。
次にやったのが26〜27歳。その間に7年経っていても、父に言われた通りにやる。そしてまた次も、何年か経って自分の考えがあっても、父の言われた通りにやらないといけない。
変えてやっていいよ、という人もいらっしゃるそうですが、うちの父の場合はダメです。
——新之助さんにも、同じように教えていらっしゃるのでしょうか?
團十郎:まず、いまの年齢では、それしかできないですしね。アレンジするとか工夫するというのは、結構高度な技だと思います。
若いうちに自分のアレンジを入れて、自分はよかれと思っても、まわりの方は違うと思っているでしょう。それが若いうちは分からなかったりする。そういうことへの戒めのために、父は言っていたのだと思います。
だから、新之助には十二代目から教わったものをベースに話しています。

襲名前の2019年、父子で出演する『外郎売』の稽古風景。
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