團十郎家の歩みの中から、自分がやるべきものを作っていく
——ご自身の中で、先代から何を受け継ぎ、何を選び取っていくかという意識はありますか?
團十郎:基本にあるのは、父である十二代目の市川團十郎です。
生身の人間が生身の人間に教えるということは、並大抵のことではないですから、その中で父から学んだ考え方、学び方、稽古の仕方、舞台上での表現の仕方が基礎になっています。
その上で、祖父である十一代目の俳優としてのあり方や、なぜ九代目市川團十郎が「活歴」というものに挑戦したのか。七代目團十郎が始めた歌舞伎十八番を九代目市川團十郎が継承したときの想い……。
私は、その中から、自分がいいと思ったことを見つけていくだけです。
——「古典の中に新しいものを見つける」ともおっしゃいましたが、それは先人たちの歩みの中にもあるということでしょうか?
團十郎:たとえば、四代目市川團十郎は、荒事だけにとどまらず、人間味のある「実悪」というものに踏み込んで、歌舞伎十八番の『景清』を作り上げました。
父の生前、「(父が)やらなかったことをやりたいのだけど」という話をしたときに、「それはいいじゃないのか」とお墨付きをもらっています。
——近年、復活上演を多く手がけていらっしゃいますね。
團十郎:歌舞伎十八番や新歌舞伎十八番の途絶えていた演目を手がけていますが、『景清』もそのひとつです。そして、この『景清』に、後輩俳優たちがまた挑戦してくれたりしています。

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