「王道を踏みながら、大きく時代を変える異端でありたい」
——映画の冒頭、杏さんのナレーションで、團十郎さんを「王道と異端の二刀流で今を駆け抜ける役者」と表現されているのが印象的でした。團十郎さんにとって「王道」と「異端」とは、どんなものなのでしょう?
團十郎:市川團十郎にとって王道というのは、先祖から受け継がれてきた荒事、歌舞伎十八番、新歌舞伎十八番を中心に、「古典」と言われている演目をやることが基本です。
異端というのは、それとは異なることを生み出す力のことだと思います。
先祖の作った作品を演じるには、研究を尽くすことが最も大事です。
古典には、それだけをやっていても成立する力がありますが、それだけでは「團十郎」として十分とはいえない。
そもそも、初代團十郎という人は突然現れて、歌舞伎を生んだ人間です。
同じものを繰り返すという伝統文化の場所での王道を踏み、かつ大きく時代を変える力を持って動くということが、異端である意味なのではと思います。

現代美術家・村上隆さんが襲名披露を記念して制作した祝幕。成田屋の家の芸である「歌舞伎十八番」の全演目が描かれている。
——十三代目市川團十郎として、どのような役者でありたいと考えていらっしゃいますか?
團十郎:つねに我々は価値観が変換されていく時代の節目に立っている。たとえば明治維新の頃、日本が変わった瞬間にいたのは九代目團十郎でした。
自分がどういう團十郎になりたいかというよりも、その時代、その時代に生まれる團十郎というものがあるのだと思います。
Related





