【見どころ1】厳寒の新潟で描くリアルな孤独―主人公「大地」の成長と心の傷

雨や雪に閉ざされ、空も海も鉛色に染まる冬の新潟。妻や息子に暴力をふるっていた父親(永瀬正敏)は、大地が幼い頃に家を出て行き、少年・大地は、狭くゴミだらけの荒れ果てた部屋で母親(宮沢りえ)と2人暮らし。夜の仕事で何日も家を空ける母と、残された大地の過酷な日常を、ドキュメンタリーのように淡々とカメラが映し出します。

大地は学校に通わず、冬用のコートも持っておらず、靴下は穴だらけ。水道や電気は度々止まり、炊事や洗濯、水くみまでひとりでどうにかこなしています。
父親へのトラウマから声を失ってしまっているので、会話は筆談が中心。そのため聞こえるのは大地の息遣い、波の音、ときどき帰ってくる母の声、そして生活音が中心と静か。それでも大地の置かれた状況、生い立ちから目を逸らすことができず、じっとスクリーンを見つめてしまいます。

幼少期、少年期、思春期と3人の大地を演じたのは、監督が「目が決め手だった」と語る榎本司さん、加藤庵次さん、穐本陽月さん。25歳の大地・北村匠海さんへとつながるお芝居に魅了されます。



