十三代目市川團十郎白猿と八代目市川新之助の襲名を、コロナ禍を挟む3年余りにわたって記録した映画『襲名』。三池崇史監督が、親子の舞台裏や稽古、家族の姿、そして十一代目、十二代目から続く市川團十郎家の歴史を映像に刻みました。
前編では、「襲名は乗り越えるもの」と語った團十郎さんが、父・十二代目から受け継いだ芸と、新之助さんに伝えていることを伺いました。後編では、映画のクライマックスとなる『勧進帳』、襲名前6歳だった新之助さんがひとりで舞台に立った『外郎売』、そして「傾く(かぶく)」精神や歌舞伎の未来について、おふたりにお話いただきます。

2022年の襲名披露興行で上演された『勧進帳』。
十一代目、十二代目、十三代目――三代をつなぐ『勧進帳』
——映画のクライマックスでは、十一代目、十二代目、十三代目の團十郎さんによる『勧進帳』が登場します。三池監督の構成によって、三代の芸が一本につながって見える、とても印象的な場面でした。
市川團十郎(以下、團十郎):あれは三池監督がなさったことです。ああいう形でよかったと思います。
父とパリのオペラ座のガルニエ宮で勤めた『勧進帳』を見て思い出したのは、一緒にジョルジュサンクホテルに泊まり、シャンゼリゼ通りを歩きながら父子で大きな喧嘩をしたこと。
当時、闘病中の父が、「とにかく行きたいんだ。私はオペラ座に行く」と言って、必死で治療をして、上演できるまでに回復をしたのです。忘れ難い記憶を思い出してぐっときました。
——新之助さんは、三代の『勧進帳』をご覧になっていかがでしたか?
市川新之助(以下、新之助):すごいです。あの場面を見て、歌舞伎ってすごいなと実感しました。言葉では表せないです。






