憧れの扮装で撮影した「六段目」の撮り下ろしスチール

「六段目」のおかる(尾上右近さん)
——「六段目」の扮装で撮影されたお写真について、撮影時のお気持ちや、役作りのエピソードを教えてください。
右近 僕は「四段目」の力弥が、初めての『仮名手本忠臣蔵』でした。その後、自主公演で勘平を勉強させてもらい、南座でも勤めました。昨年3月の歌舞伎座の通し狂言では斧定九郎と桃井若狭之助を勤めています。
僕は立役と女方の両方を勤めていきたいと思っていますが、ここしばらくは立役のお役をいただくことが多かったんです。今回は古典中の古典である『忠臣蔵』で、おかるを勤められることを本当にうれしく思っています。
(扮装について)少し細かい話をすると、「六段目」のおかるには紫色の帽子を着ける鬘と、(生え際を見せる)前髪を取った鬘という二通りがあります。今回は八代目菊五郎のお兄さんとダブルキャストでおかるを勤めますので、お兄さんに伺ったところ、前髪を取る形でなさるとおっしゃっていました。
そこで、隼人さんが演じる勘平の相手役として、少しでも新鮮に感じていただけるように、僕は帽子付きのおかるの扮装を選びました。
また、石持(紋を入れる部分を白く丸く抜いた紋付)という、世話女房役の典型的な扮装にも憧れがありましたので、うれしい撮影でしたね。歌舞伎の定番ともいえる姿なので、実際に着ることができてウキウキしました。

「六段目」の早野勘平(中村隼人さん)
隼人 僕が着せていただいたのは、勘平の浅葱色の衣裳です。立役を勤める歌舞伎役者なら、一度は着たいと思う衣裳なのではないでしょうか。
これまでの扮装写真などいろいろと調べてスチール撮影に臨みましたが、当日、この衣裳を着せていただいて、いよいよ勘平を勤めるんだという気持ちになりました。同時に、「五段目」「六段目」の勘平には所作の約束事や型が本当に細かくあるので、その難しさ、怖さも感じました。
——隼人さんにとって、勘平は目指してきた役だと伺いました。
隼人 平成25年(2013年)12月、国立劇場で二代目吉右衛門のおじ様がなさった『忠臣蔵』の外伝を題材にした公演で、僕は主君の大事に間に合わず、おかると一緒に駆け落ちしていく勘平の場面を勤めさせていただきました。
そのとき、吉右衛門のおじ様から「いつか勘平をできる役者にならなきゃいけないんだから」と言われたんです。その言葉はずっと心に残っています。
昨年3月の歌舞伎座の通し狂言では、舞踊『道行旅路の花聟』で勘平を勤めました。今回は、いよいよ「五段目」「六段目」に挑戦します。責任感をはじめ、いろいろな感情がありますが、初役ですから初々しい気持ちで勤められたらと思っています。

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