役作りになにより大切なのは作品に寄りそうこと
今年は、新たな役への挑戦を続けてきた七之助さん。6月の歌舞伎座では『盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ』の小万を演じ、その妖艶さと人物の奥行きが大きな話題となりました。さらに8月には、久しぶりに本興行で復活した『鬼神のお松』の主役を勤め、脚本の練り直しにも関わりました。
「歌舞伎には実に幅広い作品があって、そのなかには埋もれている名作がたくさんあります。『鬼神のお松』もそのひとつ。松竹さんから『やってみないか』とお話をいただき、作品の魅力を役作りになにより大切なのは作品に寄りそうこと生かしながら、いまのお客様にも共感していただける『鬼神のお松』を目指しました」
七之助さんが役作りにおいて、なにより大事にしているのは「作品に寄りそうこと」。
「そして、その人物はなにを思い、どう生きているのか。その心を考えてこそ、自然と動きが生まれるように思います。これから演じる揚巻も戸無瀬も、さまざまな思いを抱えた女性です。それを表に出すわけではなく、肚(はら)にぐっと収めることで、その人物の品格や奥行きが見えてくることがきっとあります」
最後に、七之助さんに本誌読者に向けて、平成中村座だからこそ味わえる魅力をいま一度伺ったところ――。
「いろいろとお話ししましたが、平成中村座の本当の面白さは、実際に来ていただかないとやっぱり伝わらないと思います(笑)。『どうしようかな』と迷われている方は、まず浅草寺の境内に来ていただけたらと思います。劇場には五軒長屋という江戸の町並みを再現したお店が並んでいます。上演しているお芝居の音も聞こえてきます。その空気を感じて、『面白そうだな』と思ったら、そしてチケットが残っていたら、ぜひ平成中村座に入ってきてください(笑)
平成中村座『十月大歌舞伎』のために撮り下ろされた特別ビジュアル
親子3人による舞踊の大曲『連獅子』

中村屋さんが代々大切にしてきた『連獅子』を平成中村座で初披露。令和3(2021)年に勘太郎さん、令和6(2024)年に長三郎さんが、それぞれ歌舞伎座で父・勘九郎さんと踊ってきた。今回は初めて、勘九郎さん、勘太郎さん、長三郎さんによる親子3人の『連獅子』となる。
江戸の粋を華やかに『助六曲輪初花桜』

今回の『助六曲輪初花桜』は片岡仁左衛門さんが、十七世中村勘三郎さんから教わった型を、孫である勘九郎さんに伝える形で実現。特別ビジュアルの撮影に駆けつけた仁左衛門さんは「この辺を見て」「ええ男の気分で」などアドバイスと声援を送ったという。



