博物館でじっくり副葬品と向き合う
ルクソールからカイロに戻り、まず訪ねたのは、昨年11月にグランドオープンした、エジプト文明の集大成とも言われる大エジプト博物館。日本がODA円借款による資金支援を行い、JICA(※)が文化財データベースの構築を支援していることもあって、日本語解説やオーディオガイドも充実しています。
「約1世紀前、奇跡的な考古学的発見として世界を沸かせた、ツタンカーメン王のコレクションを見ることができます。有名な『黄金のマスク』もあり、いつも長蛇の列のようです。ほかの展示が見られなくなるから、私は遠くから眺めただけですが」
スソさんの興味をひいたのは、ゲーム盤や楽器、化粧道具など、当時の人たちの生活が想像できるような副葬品でした。
「当時のエジプトでは、死後の世界でも生前と同じような暮らしをすると考えられていました。だから、お墓には、来世の生活に必要なものが副葬品として入れられたのです」
4時間以上かけて、集中力が切れるまで館内の出土品を鑑賞したスソさん。翌日は調整日として丸1日予定を空けていたこともあり、ギザの大ピラミッドにも足を伸ばすことにしました。
「閉館時間に間に合うかどうかというタイミングでしたが、ピラミッドの外観だけでも見られたらいいなと思ったんです。着いたのは、やはり閉館した直後でした。せめてもと思い、写真を撮ったら、管理をしている警官に柵の向こうから怒鳴られて、あわてて走って逃げました。おかげで疲れ果てて、翌日ダウン。1日ホテルで寝ていました」
※ 国際協力機構。日本の政府開発援助(ODA)を一元的に実施する外務省所管の独立行政法人。
大エジプト博物館
見どころはファラオの墓の副葬品コレクション
2025年11月にグランドオープンした単一文明博物館としては世界最大級のミュージアム。ギザ三大ピラミッドから約2kmという絶景ロケーションに位置している。

ツタンカーメン王のマネキン。「衣服を仕立てるときに使われたのだと推定されています」

ツタンカーメンの玉座。木製で金箔や銀、貴石などで装飾され、背もたれには王妃アンケセナーメンが王に香油を塗る、夫婦の仲睦まじい様子が描かれている。

楽器の数々。
右:リュート。新王国時代(紀元前1570~1070年ころ)に人気があり、男女ともに演奏した。
中:ハープ。宴会で女性が演奏。
左:クリッパー。歌や演奏にリズムを与える。腕の形をしたもので、さまざまなサイズで作られていた。

セネトと呼ばれるボードゲーム。10 個ずつ3 列に並ぶマス目があり、サイコロの目によって進めて遊ぶ。

食べ物を作っている様子を表現した木彫り。

化粧用のパレット。死者の頭のそばに
置き、生き返ったあと、すぐに使えるようにしていたと言う。パレットの上で顔料の孔雀石や方鉛石を粉にして目の周りに塗り、「目を通して邪悪なものが体に入らないように、古代エジプト人は男女ともにアイラインをしっかりと入れていたそうです」(スソ
さん)
写真・イラスト/スソアキコ 構成・文/杉村道子
※素敵なあの人2026年9月号「王家の谷からピラミッド巡りまで~スソアキコさんが行く エジプト″どきどき”ひとり旅【好奇心の扉】」より
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