七之助さん「これ以上ない特別な『助六』になる」
助六の恋人・三浦屋揚巻を勤めるのは七之助さん。

中村七之助さん
七之助さんは笑顔を見せながら、こんな秘話を披露しました。
「実は私は、兄は助六をやらないものだと半分諦めていました。父が生きていた頃、『俺が助六をやるから、お前は揚巻ができるようになっておけ』と言われたことがありました。こうして兄が助六に挑戦してくれることになり、本当にうれしく思っています」
「盤石の『助六』になると思っていたところへ、仁左衛門のおじ様までご出演くださる。本当に盆と正月が一度に来たような気持ちです。これ以上ない特別な『助六』になるのではないでしょうか」
中村屋に受け継がれてきた思いが重なる『助六曲輪初花桜』は、今回の「平成中村座 十月大歌舞伎」を象徴する舞台となりそうです。
七之助さんが初役で挑む『九段目』 父との忘れられない思い出
今回、七之助さんが初役・戸無瀬に挑む『仮名手本忠臣蔵 九段目 山科閑居』上演のきっかけは、
11月に歌舞伎座で『仮名手本忠臣蔵』が通し上演されることでした。
「通常の通し上演でも、時間の都合で八段目、九段目、十段目は省略されることが多いんです。そのなかでも、私は九段目がいちばん素晴らしい場面だと思っています。11月の通し上演でも九段目が上演されないと聞き、『それなら平成中村座でぜひやろう』と、一瞬で決まりました」
七之助さんは、戸無瀬の稽古にまつわる忘れられない思い出を披露しました。
「父が中村座で戸無瀬を初役で勤める時、母方の祖父(七世中村芝翫さん)のところへ一緒に習いに行きました。祖父は、義太夫も含めて一幕すべてを口で語ってくださったんです。DVDも映像資料もない時代に、役者が体一つで芸を受け継いできた、その底力に本当に驚きました」
帰りのタクシーの中で父子で「すごいね」と語り合った思い出を振り返りながら、「その九段目を平成中村座で勤められることを、本当にうれしく思っています。一生懸命務めたいです」と決意を語りました。

左から、中村勘九郎さん、中村七之助さん
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