2022年に発見された、井上ひさしさんが24歳だった1959年に執筆した未上演戯曲『うま-馬に乗ってこの世の外へ-』が、7月9日に東京・PARCO劇場で開幕しました。
東北の民話「馬喰八十八(ばくろうやそはち)」をもとにした本作は、病身の母とともに村へ現れた青年・太郎が、自らの弁舌と才覚だけを武器に村人たちを翻弄し、共同体を揺さぶっていく物語。
主演を務めるのはWEST.の小瀧望さん、演出は藤田俊太郎さんです。囲み取材では、藤田さん、そして小瀧さんをはじめとするキャストが、作品への思いや稽古場でのエピソードを語りました。

撮影:岡千里
左から/演出・藤田俊太郎さん、音月桂さん、小瀧望さん、梅沢昌代さん、安井順平さん
「最初から最後まで自分のことしか考えていない」太郎という「極悪人」に挑む
「上演を前に、わくわくドキドキして高揚感があります。作品の内容が濃くて、それを一つひとつ、井上先生の言葉を余すことなく皆さんにお届けできたらと思います」と小瀧さん。
今回演じる太郎は、行く先々で人々を言葉巧みに惑わせ、金を巻き上げ、女性たちを虜にしていく人物。強烈な存在感を放つ役です。
「太郎は最初から最後まで徹底的に自分のことしか考えていない役。こういう役は初めてなので、とても刺激的ですね。お芝居の中で心が痛む瞬間もありましたが、稽古場では日々楽しみながら演じていました」
新たな役柄に挑んだ充実感が、その言葉から伝わります。
「本当にプロフェッショナルなスタッフ、そして魅力あふれるキャストの皆さんに支えられたので、何も怖がらずに挑戦することができました」
撮影:岡千里
太郎(小瀧望)は、病身の母(梅沢昌代)、馬一頭とともに村にやってくる。
演出の藤田俊太郎さんとともに、稽古場ではキャスト全員で作品と向き合ってきました。
「テーブルワークから『井上先生は何を描きたかったのか』をみんなで考えました。日々、役者同士でも『こうなんじゃないか』『ああなんじゃないか』と意見を出し合って、なんとか井上先生に食らいつきました」
その積み重ねの中で、小瀧さん自身の作品への見方に変化が生まれたといいます。
「台本を読んでいるだけでは気づかなかったんですが、役者の皆さんが息を吹き込んだことで、この作品はコメディなんだと感じました。もちろん悲惨な出来事もあります。でも、その中にある軽快な会話や滑稽さを楽しんでいただけたらうれしいです」
藤田さんの演出についても、小瀧さんは全幅の信頼を寄せています。
「まず自由にやらせていただいて、その中からどんどん『太郎』という役を引き出してくださいました。自分もいろいろなことに挑戦できて、本当に楽しかったです」
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