ピカレスク俳優」「本が読める俳優」 共演者が語る小瀧望の魅力
小瀧さんの作品への真摯な向き合い方は、演出家や共演者の言葉からも伝わってきました。
藤田さんは、小瀧さんを「のんちゃん」と親しみを込めて呼んでいます。
「のんちゃんは台本をしっかり読み込んでいて、稽古場でも本当にアイデアを持っている方です。身体的にも、思考的にも。そのアイデアに音月さんがさらに違うアイデアをくださって、梅沢さんががっしりと全体を見て、受け止めて、さらに深い愛で作品を包む。そして安井さんがまた違う角度から僕に切り込んできて、どんどん作品が上昇していくような稽古場でした」
小瀧さん自身は、とりわけ母親役を演じる梅沢昌代さんの存在について、
「井上ひさしさんを知る役者の方がいてくださることは、本当に精神的支柱でした」と振り返り、
「稽古中は席が隣だったので、井上さんのお話をいろいろ聞かせていただきました」と明かします。
井上ひさしさんの作品に数多く出演してきた梅沢昌代さんは、
「井上ひさし先生が24歳のときに書かれた、とてもエネルギッシュな作品を、みんなで力を合わせてここまで作り上げてきました」と語り、
「小瀧さんはダイナミックでありながら繊細。信頼できる役者さんです」
と惜しみない賛辞を送りました。

撮影:岡千里
夫の目を盗み、寺の坊主・宝珍(大鶴佐助)と浮気をしていたお京(音月桂)だったが……。
音月桂さんは、『うま』は爽快な物語だと感じています。
「稽古中、自分が出ていない場面を拝見していると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。作品全体を客席で見たいと強く思いました。」
さらに小瀧さんの悪役ぶりを「まるでピカレスク俳優みたい」と語りました。
「アイドル活動もされていますし、拝見している作品からも硬派な役が多いように感じていましたが、本読みでは荒々しさもあって、良い意味で印象にギャップがありました。こういう役をさせたら右に出るものはいないんじゃないかと思うくらいです。稽古場でも台風のように、いろいろなシーンを振り回してくださいました」
安井順平さんは、「小瀧くんは売れっ子ですからね。態度が偉そうだったらどうしようかと思いましたが、まあ腰の低い、素晴らしい役者です」と笑いを誘いながらも、「とにかく本が読める俳優さん」と、稽古場でのエピソードを披露。
「演出の藤田さんとのディスカッションでも、『なぜそう演じるのか』という質問に対して、その場面だけではなく、そこに至る以前の流れから解釈を説明される。きちんと本を読んでいるからこそ、その答えが出せる。『こいつ、できる……』と思いました」
本作の出演にあたっては、「今回の公演が、この『うま』という作品の雛形になるかもしれないと思う」と、気合十分です。

撮影:岡千里
太郎は巧みな嘘によって、馬地主(安井順平)も手玉にとってしまう。
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