染五郎、初役の大蔵卿に「腹を括って2人を目指す」
染五郎さんが初役で挑むのは、『一條大蔵譚』「奥殿」の一條大蔵長成(大蔵卿)。作り阿呆として振る舞いながら、その内に源氏への思いと高貴な本心を秘めた人物です。
幸四郎さん自身も大切に演じてきた役だけに、染五郎さんへの思いはひとしお。
「今回のお話をいただいた時には、私が大蔵卿だと思っていたんですけど(笑)。染五郎にしっかりと継いでもらいたい大事な演目です。叔父に教わったものをすべて伝えたい」
それを受け、染五郎さんは「私も父じゃないんだと思いました」と笑いを誘いながら、初役への覚悟を語ります。
「自分には早いなと思う一方で、『まだ早い』と言い続けるのも自分への甘えのような気もします。初代は12歳で、二代目の大叔父は15歳で初演しております。腹を括って2人を目指すというのであれば、むしろ焦りを感じるぐらいの気持ちで演じていきたいと思います」

『一條大蔵譚』一條大蔵長成=市川染五郎(撮影_下村一喜)
父・幸四郎さんは、幸四郎襲名の際にも大蔵卿を勤めるなど、これまで何度も演じてきました。
「様式的なところにきっちり心を存在させるというところを細かく教わりたいと思います」
そして染五郎さんが楽しみにしているのが、歌舞伎の醍醐味を観客に感じてもらうこと。
「当然、父の大蔵卿が見たい方もいらっしゃると思うんですけれども、また何回もやるでしょうし、祖父も数年前にやっています。3世代が同じ時代に同じ役をやっているというのは歌舞伎以外にないことです。その歌舞伎ならではの魅力を感じていただける機会なのではないかなと思っております」



