素敵世代へ贈る韓国⽂学案内(2)
通り過ぎたけれど忘れてはいない私たちの「感情」
『その猫の名前は長い』

イ・ジュヘ 著 牧野美加 訳 ¥2,310 里山社
若くして家計を支える娘が、先輩女性社員に淡い恋心を抱く表題作「その猫の名前は長い」。子育てと家事の合間に育まれた女性同士の友情に亀裂が走る「わたしたちが坡州に行くといつも天気が悪い」。妻の外見ばかりを愛し内面を見ない夫の視点で描かれる「夏風邪」など、韓国社会の生活のリアリティをすくい取った9 つの短篇が収められている。
なかには、1991 年に数十万人が参加した民主化デモをモチーフにした自伝的作品「水の中を歩く人たち」も。その物語のディテールは音もなく心の奥に入り込み、やわらかな部分をそっと押す。
「中年女性にのしかかる家父長制の重圧、抑圧。ままならない人生ではあるけれど、静かに連帯し、抗う姿に元気がもらえる短篇集」
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