なぜダンスで表現するのか?柚希礼音が徹底的に調べ上げた北斎の素顔
北斎の「情熱」を、どのようなパフォーマンスで表現するのか。稽古を前に、柚希さんは北斎という人物を徹底的に研究し、自分の身体に落とし込もうとしています。
「ダンスは、お客様の解釈も自由で、何通りもできるものですよね。たとえば『怒り』を表現するとしても、その中にはいろんなものがある。その怒りにどれだけのものを込められるか。北斎の葛藤や苦しみ、いろんなものを理解しないとできないと思うので、とにかく徹底的に調べています」
「それを自分の細胞や血、自分自身の何もかもに通して表現できたら、お客様に伝わるんじゃないかと思っています。思いっきり気持ちを込めて身体で表現してみたいですね」

写真右から、柚希礼音さん、大貫勇輔さん、KELOさん。
男役を経てたどり着いた境地——「性別を超え、ひとつの人間を演じ切る」
柚希さんが演じるのは、男性である北斎を突き動かした「情熱」です。男性である北斎の情熱を女性である柚希さんが表現することについて伺うと——。
「宝塚で男役をやっているとき、最終的には男も女もなく、人間としての表現なんだということに気がつきました。退団後、女性の役をいただくようになってからは『女性ってどうやって歩くの?』というところから始めましたけど、結局、女性というよりも、演じるのは人間なんです」
まもなく始まる稽古に向けて、現在は身体の準備中。
「久しぶりにしっかりと踊るので、バレエやピラティスで身体を整えています。そして、ダンスで表現するには、心が満タンじゃないとダメだと思うんです」
柚希さんにとって「心を満タンにするもの」とは、「北斎の欲望とか、悔しさとか、何かを求める気持ち」。
「もういっぱい言いたいことがある状態で、始められればいいなと思っています」
かつて宝塚でナポレオンを演じたときにも、同じような思いで役に挑んだ経験があるそうです。
「毎日公演しているなかで、ナポレオンが感じている熱い葛藤を、いかに高めていけるかが課題でした。伝えたい思いがあっても、自分が元気じゃないと表現できない。しっかり睡眠をとって、体力もしっかりある状態で、心が言いたいことで満タンになっていることが大切です」
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