「人に聞く」。こんな当たり前のことが年を重ねるごとに難しくなっていませんか?
若い人のほうが詳しいことは、若い人に聞いて新しい扉を開き、人生を楽しんだモノ勝ちです!
いまどき、なにかを予約しようと思えば、大概はインターネット上で行うことになる。旅の交通機関や宿泊施設、レストランや観劇、なんでもかんでもスマホ一発で予約が可能だ。もちろん、電話で予約という方法も残されているが、回線はいつも話し中でいつ繫がるかも分からない。
そうそう、高齢者には身近な病院(特に大病院)の予約を電話でしようものなら、マジで根気がいる。スマホを使い慣れている人ならば問題ないが、昭和生まれで新しいものが苦手な人だってもちろんいるわけだ。
話はちょっと古くなるが、WBCの野球の試合を観たいのに、ネットフリックスの配信手続きができない母親から電話をもらった息子のいい話を、私はSNSで読んでなんだか心温かくなった。
「母から野球が観たいと電話。朝イチで近所の電気屋でFire TVStickを買って新幹線で実家到着。Wi-Fiに繫いでネトフリ加入後、久しぶりに実家猫を愛でて急いで新幹線とタクシーで帰京。なんとか開幕の台湾戦に間に合う。いまここ」。
いっぱい、いいねのハートマークがついていた。この投稿を読んで、やさしい心持ちの息子にも感心したが、息子を頼った母親を褒めたいと思った。
もちろん、些細なことを度々頼んで迷惑がられる親は問題外だが、新しいシステムが分からなくて若い人に聞いてみる心意気は大事だ。聞いて、試してみて、新しい世界が開けて、教えてくれた人に感謝する。こういうコミュニケーションは、高齢者の日常を楽しいものにしてくれるのだ。人に聞くのを恥ずかしがって取り残された気分になるより、ずっといい。
誰にも迷惑はかけたくないという気持ちは悪くはないが、頼られた方は案外、その親切をありがたがられて嬉しかったりするものなのだ。
私は仕事上、パソコンでデザイン関係のアプリを使うことが多々あるが、こみ入った使い方が分からないと、専門技術をちゃんと学んだ息子に聞くことにしている。なんでも子どもには教える立場だった私が、いまでは彼に教えてもらう逆転現象。息子はその行為をちょっと得意げに、そして内心嬉しそうに、私に教えたことをわざわざ紙に書いて残してくれるのだ(昭和な私にはありがたい)。
ところで、今年の2月から生活応援事業として「東京アプリ」なるものが1万1000円分のポイントをマイナカード保持の15歳以上の都内在住者に与えているのだが、アプリ登録が面倒だ。もらいにくくするために、わざと複雑にしてないか、などと皮肉にみてしまう私だ。
イラスト&文/石川三千花
※素敵なあの人2026年6月号「石川三千花の素敵とそれなりの間にはvol.71」より
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