今、女性の共感を呼ぶ噺の世界が広がっている落語の世界。現在の落語の魅力について、関東圏の落語情報を中心とした、 日本で唯一の演芸専門誌『東京かわら版』の編集長佐藤友美さんにお話を伺いました。落語を聞いたことがない方もきっと興味がわくはず。
時代の変化を受け入れる懐の深さが面白さの秘密
大衆芸能でもあり、伝統芸能でもあるのが現在の落語。佐藤さんは「その両面をあわせ持つ、 懐の深さが強み」だと言います。主人公はほぼ男性で、封建的な男女観が根底にある古典落語。親のために遊郭へ身売りをする娘といった設定も珍しくありません。そこを現代の客にどう見せるかは、落語家の腕次第。主人公を男性から女性の登場人物に転換するといった斬新な工夫をする演者もいます。
「人気のある落語家さんは、そうしたアレンジで客の心を摑みながら、現代にも通じる普遍的な心情を聴かせてくれる。そして落語界のすごいところは、いま大活躍中の春風亭一之輔師匠のように、時代に即した人気者が必ずあらわれるところです」
また、かつて三遊亭圓丈さんが作り続けた実験的でシュールな新作落語が若い世代に影響を与え、後継者が育ったことも現在の新作人気を決定づけました。
「映画でも社会派、ラブコメ、 SFと多様なジャンルがあるように、『これも落語 』と驚くような新作がたくさんあります。 たとえば、三遊亭白鳥師匠の『落語の仮面』は、少女漫画『ガラスの仮面』の作者公認のパロディ。いまでは、さまざまな演者によって演じられています」
客席の左右には、座布団で座って観る桟敷席。床の高さが高座と同じなので、演者と同じ目線で見ることができる。
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教えてくれたのは
『東京かわら版』編集長 佐藤友美さん
東京都渋谷区恵比寿に生まれ、育つ。いまはなき浅草の国際劇場の隣で旅館を営んでいた祖母の影響で、幼少のころより古典芸能(歌舞伎、日本舞踊、邦楽、相撲)に親しむ。明治大学文学部仏文学専攻を卒業後、愛読していた『東京かわら版』で「アルバイト募集」の記事を見て応募。採用後、正社員になり、2004年より編集人を務める。落語のほか、現代美術やコンテンポラリーダンスなどを観るのも好き。なにかを鑑賞することにかけてはフットワーク軽く、手間暇を惜しまないのが信条。自社の刊行物だけでなく、落語に関するさまざまな書籍の編集協力も多い。単著としては『ふらりと寄席に行ってみよう』(辰巳出版)を刊行。
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