「暑いと、そうめんや冷たい飲み物ばかり欲しくなるけど、後で胃が重たくなる」「食べたい気持ちはあるのに、いざとなると量が食べられない」など、60代を迎え、夏の訪れとともにこのような胃腸の不調を感じていませんか? 食事は日々の元気の源ですが、その入り口である胃腸が疲れてしまうと、からだ全体の活力も失われがちです。
この記事では、なぜ夏に私たちの胃腸が疲れやすくなるのか、そのメカニズムを詳しく解説します。そして、疲れた胃腸を優しくいたわるために、ご家庭で手軽に試せる薬膳の簡単レシピを紹介します。
なぜ夏の胃腸は疲れやすい?
夏の胃腸の不調は、単に「夏バテ」の一言で片づけられるものではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合って引き起こされます。主に考えられる原因3つについて解説します。
【1】高温多湿の影響
日本の夏は、気温が高いだけでなく湿度も非常に高いのが特徴です。とくに胃腸は湿気に弱く、その働きをもっとも阻害されやすい臓器とされています。
体内に湿気がたまると、消化吸収力が低下し、食欲不振、胃もたれ、おなかの張り、軟便や下痢、そしてからだが重だるいといった特有の症状があらわれやすくなります。
【2】冷えの影響
からだの内・外両側からの冷えによって胃腸が弱ることもあります。
冷たい飲食物の摂りすぎ
暑さから逃れるように、夏は冷たい飲み物、アイスクリーム、かき氷、そうめんや冷やし中華といった冷たい麺類などを摂る機会が格段に増えます。しかし、これらの冷たいものは直接胃腸を冷やし、消化酵素の働きを鈍らせ、胃腸の運動機能を低下させてしまいます。
冷房によるからだの冷え
屋外の猛暑とは対照的に、冷房の効いた室内は快適ですが、長時間いることでからだ全体が冷えてしまうことがあります。とくに足元やおなか周りが冷えると、胃腸への血流も悪くなり、その働きが低下してしまいます。
【3】加齢による胃腸の機能低下
年齢とともに、誰でも消化液の分泌量が減ったり、胃腸の運動機能が低下したりと、消化吸収能力は少しずつ低下していく傾向があります。そのため、若い頃と同じように食べているつもりでも、胃腸にとっては負担が大きくなっていることがあります。
これらの要因が複合的に絡み合い、食欲不振、消化不良、胃もたれ、下痢といった、いわゆる「夏の胃腸疲れ」を引き起こしてしまうのです。