フォトグラファーの中川真人さんが、トークと写真で憧れの人の本当の姿を引き出す「まことのはなし」。今回のゲストは俳優・文筆家の冨士眞奈美さん。大人気ドラマ出演時の話から大好きだというあの野球選手の話まで、たっぷりと伺いました。
同じ地球に住んでいる人類。みんな仲よくするべきよ
冨士 (『細うで繁盛記』で主人公の新珠三千代さん演じるお嫁さんをいじめる旅館の娘役だったことから)その当時、スピード違反で捕まったとき、お巡りさんが「新珠さんをいじめないなら勘弁してあげる」って冗談でいうのよ。「絶対いじめません」って言いましたけど(笑)。
新珠さんが「殴っても蹴っても、なにをしてもいいのよ」と言ってくださるから、得意の方言(ドラマの舞台が冨士さんの故郷の伊豆)で「犬に食わせる飯はあっても、おみゃーに食わせる飯はにゃー」と罵ったら、みんな面白がっちゃって。
中川 記憶に残るフレーズですよね。それが『おくさまは18歳』などユーモアたっぷりのいじめ役につながったんですね。
冨士 毎回、てっちゃん(石立鉄男さん)を追いかける役だった。
当時の彼は、覚えたばかりのお酒が楽しかったのね。府中や八王子のロケ地に朝の時に行っても、てっちゃんが来なくて撮影中止になることがあったの。
あるとき、帰り道の環八を車で走っていたら、見覚えある車が停まっていて、中でてっちゃんが寝ているじゃない。でも私は自分ものんべえだから怒れず、「みんな怒ってるわよ。中止になったから家で寝なさい」って言ったの。
彼は憎めない人で、私が出産したときにブーゲンビリアの鉢をくれたの。何度も植え替えるほど大きく育ち、いまでも夏と冬に真っ赤に咲いてくれる。それを見るたびに、てっちゃん、ありがとう、って言うのよ。
中川 いまもお酒はお好きなんですか?
冨士 離婚した当時は、自由が嬉しくて毎晩のように飲んでいました(笑)。飲むと車で帰れないから、夜中にトラックをヒッチハイクして帰ったこともある。
娘に「危ないじゃないの!」と怒られましたけど。あるときからパタッと飲みたくなくなっちゃった。
中川 最近のお楽しみはなんですか?
冨士 ドキュメンタリー番組を見るのが好き。あとはスポーツ観戦ね。
中川 記者志望だったとお聞きして、以前、冨士さんが新聞で「平和」について書かれていたのを思い出しました。いまの日本に思うところはありますか?
冨士 中国とか北朝鮮でなにかあるたびに、日本のマスコミは神経質に騒ぐでしょ。あれは敵対心を煽っているようなもの。暗殺される直前のケネディ大統領が演説で「同じ地球に住んでいる人類なんだから、みんな仲よくすべき」って言っていたのを覚えています。
すごく感心して、だから43歳で大統領になるんだな、と思ったんだけど……。11月の大統領選挙でトランプ大統領になってしまったらどうしましょう。
「しまい込んでいたアクセサリーを使ってもらえて嬉しいわ」(冨士さん)