素敵世代の健康を左右するのが、「血管」の状態。全身に張り巡らされている血管が老いることで、さまざまな病気のリスクが上がってしまいます。60代女性だからこそ知っておきたい、血管が老化する理由や、その対策法についてご紹介します。
「血管力」を左右するのは生活習慣。加齢に負けない血管作りを
血管が老化する理由や老化の予防法について、循環器系の専門家である医師の池谷敏郎先生にお話を伺いました。
「60代女性の血管が老化する原因は、大きく分けてつあります。1つ目は加齢。これは自然現象として避けようがないものです。2つ目は、悪い生活習慣。不摂生な食習慣、運動不足、寝不足、ストレスや、それらによって表れる生活習慣病などが挙げられます。そして3つ目が、女性ホルモンの分泌が低下すること。女性ホルモンにはあらゆる不調から体を守る働きがありますが、血圧の上昇を防ぐ、血管を健康に保つなどもそのひとつ。しかし閉経後は、分泌が低下してしまいます。これらの要因が重なって、血管が老けてしまうのです」
血管は年齢とともに衰える一方で、老化は止められないのでしょうか。
「そんなことはありません。生活習慣を改善することで、血管は何歳からでも若返らせることができますし、しなやかで内壁がなめらかな『血管力』の高い血管にすることができます。生活を見直すなら、代のいまがチャンス。皆さんもぜひ始めてみてください」
血管力とは?
「血管のしなやかさ」と「血管の内壁のなめらかさ」を保ち、血液をスムーズに循環させることができる力のこと。血管のかたさは血管年齢で表されますが、血管がやわらかく血管年齢が若くても、プラークがあり血管の内壁がなめらかでなければ、血管力が低い状態。
血管の断面図
血管は外膜、中膜、内膜の3層構造で、内膜の内側は血管内皮細胞という薄い細胞の層に覆われています。血管内皮細胞にはバリア機能があり、血中から血管壁へ異物が侵入するのを防いだり、血管の若さと健康を保つ「NO」という物質を分泌したりする働きも。