数多くの俳優やアーティストを撮影してきた中川氏が、憧れの人の本当の姿を引き出す「まことのはなし」。今回のゲストはモデルとして活躍しつつ、服や雑貨のプロデュースも手がける桐島かれんさん。前編ではおしゃれや家族のことを中心にお話を伺いました。
装うことも、日々の暮らしも私にとっては同一線上なんです
中川さん(以下敬称略) 白いシャツを着て撮影する」のが、この連載のコンセプトなんです。かれんさんにとって、白のシャツはどんな存在ですか?
桐島さん(以下敬称略) 昔は定番でしたけど、すっかりよそゆきになりましたね。私は家で料理もするし、庭いじりもするし、孫の世話もするし……。
中川 それじゃ、汚れが目立つ白はなかなか着られないですよね。
桐島 でも大好きだから、クローゼットにはちゃんと白いシャツのコーナーがあるんです。その中に宝物があって。もう40年くらい前かな? 学生時代に買った、中国のスワトウ刺しゅうが入った白いシャツ。20代のころは、それにボロボロのジーンズを合わせてよく着ていました。
中川 年齢によって、似合う服や着たい服は変わってくるものですが、かれんさんの場合はいかがですか?
桐島 女性は出産で体形が変わるし、50代ぐらいから代謝が落ちて、どうしても太りやすくなる。重力にも負けていくし(笑)。でも、下手に痩せても不健康に見えるから、細ければいいわけでもなくて。ジーンズ1本買うにしても、体形に合ったものを探すのは大変なんですよ。
中川 かれんさんにとっての、おしゃれの基準というのはありますか?
桐島 私はブランドロゴが大きく入った服を身につけることは苦手で。私たちは『なんとなく、クリスタル』の世代だから、みんなブランドものが大好きなんですが(笑)、私はあまのじゃくなところがあるから、いいものは着たいけど、わざわざブランド名で主張したくはない。どこのブランドかわからない服を着る、というのが昔からのこだわり。若いころはとび職の人が着るようなニッカボッカや足袋シューズをワークウェアのお店まで買いに行って、よく着ていましたね。
中川 流行に左右されず、自分の目で選ぶことでスタイルが築かれたんですね。
桐島 まずは、「どう生きるか」という軸が先にあって、そこにファッションもついてくるのだと思います。普段着に白を選ばなくなったのも、それがいまのライフスタイルに合っているから。私にとっては装うことも、インテリアも、食もすべてつながっているんです。
桐島かれんさん
1964年、神奈川県生まれ。モデルとして活躍する傍ら、ファッションブランド「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクターを務める。YouTubeチャンネル「桐島かれんathome」では、日々の暮らしや旅についても発信。近著に『ペガサスの記憶』(桐島洋子、かれん、ノエル、ローランド共著/小学館)がある。
撮影・インタビュー/中川真人〔CUBISM〕 スタイリスト/佐伯敦子 ヘア&メイク/重見幸江〔gem〕 文/工藤花衣
※素敵なあの人2024年11月号「フォトグラファー中川真人のまことのはなしVOL. 9」より
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。
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