落語ブームといわれて久しいなか、特に目立つのが新進気鋭である二ツ目たちの勢い。その代表的なひとりが、昨年、『落語業界の真実』という新作をひっさげて、若手を対象としたコンクールで大賞を受賞した、三遊亭ごはんつぶさんです。
東京・下北沢で〝初めて落語を聴く人にもわかる落語会〟を催したり、SNSによる観客獲得の可能性を切り開く活動も注目の的。落語の未来にかける思いについてたっぷり伺います。
「YouTubeから流れてきた新作落語を聴いて人生の進路が決まりました」
大賞を受賞した噺のオチは「落語は自由だ!」
二ツ目とは前座修行を終え、紋付の着物と羽織りを着用する一人前の落語家。ごはんつぶさんは二ツ目3年目にして公推協杯全国若手落語家選手権で大賞を獲得。最年少での受賞でした。
「大会のルールに合わせて『10分間の作品を作ろう』と思うと、モチベーションが上がらないタイプなので、純粋にお客さんを楽しませることを目指しました」
決勝で演じた新作『落語業界の真実』では落語界と、ある世界的な結社の関係を軽妙に解き明かし(もちろんフィクションです)、会場を沸かせました。そして、クライマックスでごはんつぶさんが叫んだ「落語は自由だ!」が噺のオチに―。
「受賞を機に名前を知ってくださる方が増え、寄席でも演じやすくなりました。寄席では15人前後の芸人が次々と出ますが、多くのお客様の目当てはトリをつとめる師匠。早い出番の若手は、マクラで自分を知ってもらうことに時間をかけなくてはなりません。ところが、リーフレットやめくり(※1)を見て『ごはんつぶって聞いたことあるな』とお客様が関心を持って聴いてくださると、噺に笑いの要素をもっと入れやすくなります」
「新作落語の場合は台本を書いて、お客さんの前に出せるクオリティに持っていくまでに時間がかかります」と、ごはんつぶさん。「古典落語は1 週間あれば覚えられますが、それが簡単というわけではありません。古典をやる落語家さんは多いので自然と競争率が高くなるという、また別の闘いがあります」




