落語に興味を持ち、観に行ってみたいなと思っても、どこに誰を見に行けばいいのか迷いますよね。そこで今回は、日本で唯一の演芸専門誌『東京かわら版』の編集長佐藤友美さんに、推せる落語家の見つけ方を教えてもらいました。寄席やホールだけじゃない、意外な場所での落語会もおすすめだそうで要チェックです。
贔屓をひとり見つけると落語の楽しみが増えてくる
佐藤編集長直伝、 推せる落語家の見つけ方
意外なところで行われている、落語会もおすすめ、と佐藤さん。「落語家の高座は居酒屋や蕎麦屋、カフェやお寺などでも行われています。そして、そうした場所で行われる、小さな落語会のお楽しみは、終演後の打ち上げ会にもあるんです」
『東京かわら版』をよく見ると、 その言葉どおり、「懇親会つき」 と記された会がけっこうあります。小さな会場で落語を観てから、直接お話ししたりして、それで好感を持てた落語家さんはすでに推し候補。何度か通えば、落語家も顔を覚えてくれそう。
「もしも、気になる落語家さんがいたら、個人でも高座をお願いすることはできます。『落語好きだった父の法事』『自分の誕生日』など依頼の理由はなんでも。二ツ目さんなら、座布団や椅子を20席くらい用意できる場所と楽屋があれば来てくれると思います(出演料は応相談)。将来売れる落語家は、二ツ目のころからきらりと光っている人が多いですよ」
また、落語会で配布されるアンケートに連絡先を記入すると、 一般には情報が出ないネタ下ろし(覚えた噺を初披露すること) の会の情報が届いたりすることもあるそう。その落語家が真打に昇進した暁には、お披露目パーティの案内状が届く可能性も。
「人気のある演者が魅力的なのは事実ですが、初めて寄席に連れて行った友達と終演後に誰がよかったかという話をすると、それぞれ感想が違うのが面白いんです。皆それまで生きてきた人生によって、惹かれる落語家さんが違うんだなと思います。私からは桃月庵白酒師匠のいい声で語られる毒舌や、疲れているときでも気分を明るくしてくれる三遊亭兼好師匠もおすすめしたいですね。自分の心にぴったりくる落語家さんがいると人生がより楽しくなると思います」
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教えてくれたのは
『東京かわら版』編集長 佐藤友美さん
東京都渋谷区恵比寿に生まれ、育つ。いまはなき浅草の国際劇場の隣で旅館を営んでいた祖母の影響で、幼少のころより古典芸能(歌舞伎、日本舞踊、邦楽、相撲)に親しむ。明治大学文学部仏文学専攻を卒業後、愛読していた『東京かわら版』で「アルバイト募集」の記事を見て応募。採用後、正社員になり、2004年より編集人を務める。落語のほか、現代美術やコンテンポラリーダンスなどを観るのも好き。なにかを鑑賞することにかけてはフットワーク軽く、手間暇を惜しまないのが信条。自社の刊行物だけでなく、落語に関するさまざまな書籍の編集協力も多い。単著としては『ふらりと寄席に行ってみよう』(辰巳出版)を刊行。