セールでつい、絶対必要なものではないのに「安い!」と購入してしまうこと、ありますよね。三千花さんも、セールの魅力に負けてしまうことがあるようです。
セールの時期になると、なんだか買い物欲の血が騒ぐのはファッション好きな人の常。ネットで半額セールの文字を見つけるやいなや、ずるずるとページをチェックしてポチってしまう。
だがそれは、本当に欲しくて探していたわけではなく、安かったから買ってしまうという罠だ。そして、大概、こういう洋服は、1、2年もしたら別の安売りアイテムに取って代わられて、着なくなってしまうのだ。
私は無類のボーダーTシャツ好きだが、セール品になったそれを見つけると、つい買ってしまう。
持っていない色だから。パターンがゆったりサイズだから。素材が薄手だから。それに安いし……などの理由で買い続けて、気がついたらボーダーTシャツがクローゼットの奥で“地層”になっていた。もうボーダーTシャツは死ぬまで持つほど十分ある! セール品を見ても絶対に買わないと誓った次第。
実際、この歳になると昔ほど気張って外出する機会は減ってゆき、ちょっとおしゃれをして出かける際にも、すでに手持ちの洋服で間に合ってしまう。バッグでも靴でも上等なものは数点あるが、スニーカー慣れしたコーディネートには似合わなくなって、お高いブランドものは必要なくなってくるのが現実だ。
それならば、安くなったから買う余計な洋服ではなくて、いまの自分にしっくりくる本当に欲しいアイテムを、季節を先取りして買うのはどうだろう。
同じセール品でも、たとえば、アウトレットモールに行ったとすると、いますぐ着ることができる夏物ではなくて、冬物のコートとかジャケットなどが狙い目だ。夏のセールでは、冬物は隅っこのほうに驚くほどの割引で売っていたりする。
その中に、いまの自分の体形に合った着心地で、本当に欲しいものがあったらラッキーだ。
もし、セール品の中に欲しいものがなくて、やっぱり季節の第1弾商品に血が騒ぐほどに欲しい洋服があったなら、それはゲットしたほうがいい。それを着る日が待ち遠しく、セールで買った数枚より愛着を持ってそでを通すに違いないからだ。
ところで、早々に先のシーズンの出始めに定価で買ったものが、売れ残ってセール品になったのを目撃したときのガッカリ感。私にも経験があるが、そんなときには、いち早くファッションの季節感を取り入れた気分の良さがあったのだから、ヨシとしよう。
イラスト&文/石川三千花
※素敵なあの人2024年10月号「石川三千花の素敵とそれなりの間にはvol.51」より
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