近年、日本各地で国際的なビエンナーレやトリエンナーレが開催され、街や地域全体が現代美術の舞台に。そんな魅力を、今秋おすすめの芸術祭とともに『ARTnews JAPAN』編集長・名古摩耶さんが紹介します。
瀬戸内国際芸術2025
現代美術の祭典とも言うべき日本を代表するトリエンナーレ
秋会期は10月からスタート
「瀬戸内の自然環境のなかで、多彩な作品を堪能できる体験は圧巻です。大きな作品を大胆に設置されると、日本の抒情的な風景が斬新に見えてくる、その実感を味わっていただきたいですね。また、訪れるたびに展示エリアである各島や地域に住んでいる人たちの、アートに対する理解が深く共有されていることを感じます」(名古さん)
島全体に作品が点在し、“現代アートの聖地” として国内外から注目を浴びている直島と香川県を中心に構想された「瀬戸内国際芸術祭」は、2025 年で 6 回目の開催となる。
【開催概要】秋会期:2025年10月3日(金)〜11月9日(日)、会場:直島・豊島・女木島・男木島・小豆島・大島・犬島・本島・高見島・粟島・伊吹島・高松港エリア・宇野港エリア・宇多津エリア、参加作家・団体:222組、瀬戸内国際芸術祭総合ディレクター:北川フラム、主催:瀬戸内国際芸術祭実行委員会
ニコラ・ダロ「ナビゲーションルーム」 Photo:Shintaro Miyawaki 12か月に対応する曲を奏でるオルゴールと貝殻や枝で作成された海図が連動。天体の動きや太陽光の減衰、時間の尺度を表すプラネタリウム。(女木島)
アリシア・クヴァーデ「レボリューション」 Photo: Keizo Kioku 重要伝統的建造物群保存地区に選定された笠島地区の建造物に柱や梁、畳や建具のもつ均整を利用した実像と虚像が織りなすインスタレーション。大阪城築城で石を供出したこともある本島の石を使い、ステンレスのリングとともに惑星の軌道をイメージさせる。(本島)
西山美なコ「〜meltingdream〜/高見島パフェ 名もなき女性(ひと)達にささぐ...」 Photo: Keizo Kioku 島の廃屋で見つけたグラスや持ち込んだ家具に、砂糖で制作した350個余の薔薇の彫刻をパフェのように盛り、時間とともに融け朽ちていくインスタレーション。(高見島)