「以前は気にならなかったようなことに、ついイラッとしてしまう……」
「イライラすると、頭痛や肩こりがひどくなったり、夜眠れなくなったりする……」
こうした「ふとしたイライラ」は単なる性格の変化ではなく、心身のバランスの乱れが影響している可能性があります。なぜ60代になるとイライラしやすくなるのか、その原因を心とからだの両面からわかりやすく解説します。
60代のイライラを引き起こす要因3つ
イライラを引き起こす要因には、ホルモンバランスや自律神経などが関係しています。具体的に、イライラとどのような関係があるのか見てみましょう。
【1】ホルモンバランスの変化
女性は更年期になると女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が徐々に減少し、閉経後も低い状態が続きます。女性ホルモンの分泌をコントロールしている視床下部は、指令通りに女性ホルモンが分泌されないことで混乱してしまいます。
視床下部は、自律神経もコントロールしている組織です。女性ホルモンの分泌が指令通りに行われず視床下部が混乱することで、自律神経のバランスも乱れ、イライラや不安感といった精神的な不調を引き起こすことがあります。
【2】自律神経の乱れ
加齢や不規則な生活習慣などにより自律神経が乱れることも、イライラにつながる要因です。
年齢とともに、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズにいかなくなり、自律神経のバランスが乱れやすくなります。これにより、感情のコントロールが難しくなったり、身体的な不調が精神的なイライラにつながったりするのです。
また、不規則な睡眠、偏った食事、運動不足なども自律神経の乱れを助長します。
【3】身体的な不調や慢性疾患の影響
慢性的な不調や疾患などの影響で、イライラしやすくなることもあります。
たとえば、 関節痛や腰痛、神経痛など、長引く痛みが精神的なストレスとなり、イライラを引き起こすことがあります。高血圧や糖尿病、脂質異常症などといった生活習慣病の治療や、それに伴う食事制限、将来への不安などがストレスとなり、イライラへとつながることも少なくありません。
また、 不眠や中途覚醒、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害で質の高い睡眠がとれないと、日中のイライラ感が増すほか、甲状腺機能異常などの疾患が気分の変動やイライラを引き起こすこともあります。