「トイレの後、すっきりしない」など、60代になると多くの人が経験する「残尿感」。年齢のせいと諦めてしまっているかもしれませんが、放置すると生活の質を大きく下げる要因になることも。残尿感に悩まされず過ごすには、早めの対策が重要です。
そこで、残尿感が起こる60代特有の原因や、今日からできるセルフケア、生活習慣の見直しポイントを紹介します。
60代に多い「残尿感」の主な原因
残尿感は膀胱や骨盤などの腰まわりの問題以外に、生活習慣が関係していることもあります。残尿感の主な原因を具体的に見ていきましょう。
【1】膀胱機能の変化・低下
残尿感の主な原因には、加齢による膀胱機能の変化・低下が挙げられます。本来、膀胱は伸びたり縮んだりすることで排尿をコントロールしています。その力が加齢により衰えることで、尿を溜めることも、最後までしっかり出し切ることも難しくなり、常に「まだ残っている感じ」がしてしまうのです。
また、膀胱が勝手に収縮したり、まだそれほど溜まっていないのに強い尿意を感じたりする「過活動膀胱」の症状も、60代以降に多く見られるようになります。
さらに、糖尿病や脳血管障害の既往がある場合は、「神経因性膀胱」と呼ばれる神経性の排尿トラブルが潜んでいる可能性もあります。
【2】尿道が狭まる
尿道が狭くなることで尿の通りが悪くなり、出し切れない感覚につながることもあります。
たとえば、男性の場合に考えられるのが、 加齢とともに前立腺が大きくなる前立腺肥大症による尿道の圧迫です。残尿感のほか、頻尿、尿漏れなどの症状があらわれることもあります。
また、女性の場合も子宮筋腫や子宮内膜症などによって尿道が狭くなることがあります。残尿感以外のお悩みもある場合は尿道が関係している可能性があるため、早めに医師の診察を受けましょう。
【3】骨盤底筋群のゆるみ
骨盤を支える「骨盤底筋群」の筋力低下も、残尿感の原因のひとつです。膀胱や尿道を支えるこの筋肉が衰えると、尿を溜める・排出するという基本的な働きに影響が出てしまいます。
出産経験のある女性や、長年運動習慣のなかった人ほど、この筋肉がゆるんで残尿感や尿漏れなどの症状につながってしまいがちです。
【4】生活習慣やその他の要因
生活習慣や薬などの影響が残尿感につながっていることもあります。たとえば、水分摂取が少なすぎると尿が濃縮されて膀胱を刺激しやすくなる一方、水分を摂りすぎる場合も頻尿につながり結果的に残尿感を覚えることも。
また、便秘が続いている場合は便が膀胱や尿道を圧迫し、残尿感や頻尿を引き起こすことがあります。ストレスや不安が自律神経を乱し、排尿トラブルを招くこともあるため注意が必要です。
さらに、見落としがちなのが薬の影響です。抗コリン薬、抗うつ薬、利尿剤などといった一部の薬には、排尿機能に影響するものがあります。これらの薬の影響で残尿感が引き起こされていることもあるため、気になる場合は医師に相談しましょう。