【ここにも注目!】何杯もの麦茶が演出する“渇き”
作中のできごとの多くは主人公・治の自宅やその周辺で起きているため、生活のなかでの動作が自然と出てきます。急に治の妹と姪が家に来た時、スーパーやコンビニで買った弁当を食べる時、買い物やバイトから帰って来た時、たまに手づくりしたごはんを食べる時。その都度、治や優子が冷蔵庫から麦茶ポットを出してコップにお茶を注ぎ、ごくごく飲むシーンが登場しています。長崎の夏の暑さからくる喉の渇きはもちろん、飲んでも飲んでも潤わない心の渇きのようなものも同時に表しているように感じました。
様々な角度からの演出で、登場人物たちの心の機微を繊細に描いた『夏の砂の上』。人生いろいろと経験してきた大人の女性にこそおすすめの作品です。
作品情報
『夏の砂の上』
7月4日(金)公開
出演:オダギリジョー、髙石あかり、松たか子、森山直太朗、高橋文哉、満島ひかり、光石研
監督・脚本:玉田真也
原作:松田正隆(戯曲『夏の砂の上』)
音楽:原摩利彦
配給:アスミック・エース
(C) 2025映画『夏の砂の上』製作委員会
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