【見どころ2】長崎の夏が匂い立つようなカメラワーク
映画の舞台は、長崎の街。坂道と石段が多く、時折猫を見かけ、見下ろせば海が広がり、市街地には路面電車が走る。雨が降らず暑い日が続いたかと思えば大雨が降り、スクリーンからは夏の暑さや雨上がりの様子が匂い立つよう。オール長崎ロケならではの独特のカメラワークにも注目です。
【見どころ3】研ぎ澄まされたセリフで感情の変化が際立つ
『夏の砂の上』の原作は戯曲で、幾度となく舞台で上演されてきた作品。登場人物たちはみな自分の気持ちを言葉にするのがあまり得意ではなく、その分セリフは少なめでどこか不器用さを感じます。おしゃべりに見える治の妹・阿佐子ですら、器用に生きているとは言い難いです。だからこそ、感情が動いた時の変化が際立ち、舞台上演を重ねて研ぎ澄まされてきたセリフが心に響きます。
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