「エアコンをつけて寝ても、なんだか暑くて寝苦しい夜が続く」「昔はどこでもすぐに眠れたのに、最近は布団に入ってもなかなか寝つけない」など、60代を迎え、このような睡眠のお悩みを抱えていませんか? この頃は夏本番前から暑い日が続くこともあり、年齢によるからだの変化に加えて暑さからよく眠れず、睡眠の質が低下してしまうことは珍しくありません。
まず私たちの睡眠がどのような仕組みで成り立っているのか、そして加齢や暑さが睡眠にどのような影響を与えるのかを詳しくご説明したうえで、寝苦しい熱帯夜でもぐっすり眠るための具体的な快眠法をご紹介します!
60代が夏場によく眠れないのはなぜ?
夏の夜、なかなか寝つけなかったり、途中で目が覚めてしまったりする背景には、私たちのからだの仕組みと年齢による変化、そして「暑さ」という環境要因が複雑に絡み合っています。まずは睡眠の基本的な仕組みを知った後、年齢とともにどう変化していくのかを見ていきましょう。
睡眠の基本的な仕組みと種類
私たちの睡眠は、大きく分けて「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があり、これらが約90分のサイクルで繰り返されています。
レム睡眠とは、からだは休息しているが、脳は活発に活動している浅い眠りの状態。夢を見るのは主にこの時です。記憶の整理や定着に関わっていると考えられています。
ノンレム睡眠とは、 脳もからだも休息している深い眠りの状態。眠りの深さによって段階があり、とくに最初の深いノンレム睡眠は、成長ホルモンの分泌を促し、からだの修復や疲労回復に非常に重要です。
質の高い睡眠とは、このレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルがスムーズに繰り返され、とくに深いノンレム睡眠がしっかりとれていることを指します。
60代の睡眠の変化
年齢を重ねると、睡眠のパターンにも変化があらわれます。
睡眠時間が短縮する
一般的に、加齢とともに必要な睡眠時間はやや短くなる傾向にあります。若い頃と同じように長時間眠れなくても、日中の活動に支障がなければ心配しすぎる必要はありません。
深い睡眠が減少する
もっとも大きな変化は、深いノンレム睡眠の時間が減少し、浅いノンレム睡眠やレム睡眠の割合が増えることです。これにより、「眠りが浅くなった」「熟睡感が得られない」と感じやすくなります。
中途覚醒・早朝覚醒が増加する
眠りが浅くなるため、夜中に些細な物音や尿意で目が覚めやすくなったり(中途覚醒)、予定よりも早く目が覚めてしまい、その後眠れなくなったりする(早朝覚醒)ことが増えます。
これらの変化は自然な老化現象の一部ですが、暑さが加わると、さらに睡眠の質を低下させる要因となります。