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年を重ねて似合うもの 60代からの大人の装い 素敵なあの人Web

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【60代カルチャー】心を揺さぶる作品がいっぱい!60代こそ女性劇作家が面白い理由とは?【好奇心の扉・前編】

道標となる物語に出合うと心が励まされるもの。「そのひとつとして戯曲があります」と語るのは演劇と文学を研究する米谷郁子先生。特に、素敵世代へのおすすめは、同時代を生きてきた日本の女性劇作家たちの作品。それは「女性が胸に抱くさまざまな思いを、作品が丁寧にすくい取ってくれていると感じられるから」。女性の視点から描かれた、心のひだを震わせる戯曲に触れてみませんか?

1970年代から1980年代にかけ、女性主宰の劇団が次々と立ち上げられました。

自由な生き方をロミジュリに託した少女マンガ

演劇との初めての出合いはマンガだった、という素敵世代の方は多いかもしれません。『ガラスの仮面』だけでなく、それ以前からストーリーや物語の枠組に演劇を取り入れたマンガは数多くありました。手塚治虫さんの『リボンの騎士』が、宝塚歌劇団の影響を受けているというのは有名なエピソード。シェイクスピアなどの有名戯曲を筋書きに含んだ作品も登場しました。

『ロミオとジュリエット』は、その代表的な存在。家同士の争いに追い詰められて、若いロミオとジュリエットは自ら命を絶ちます。「でも、ただ悲しく終わるだけの話ではない」と米谷先生はいいます。

「ふたりの恋愛には、若い世代の親世代への反抗や自己実現が暗示されています。同時に、自分らしさや多様性を発見するというモチーフともなるのが『ロミオとジュリエット』。そうした力を秘めた物語を自分の作品に取り込むことで、そのころの少女マンガ家たちは男性中心の価値観からの脱却を表現したのではないでしょうか。自分のことを"僕"と呼ぶ女子高生が、演劇部の舞台でロミオを演じきり成長を見せる『つらいぜ!ボクちゃん』(高橋亮子)。『ジュリエットの海』(吉田秋生)の主人公は男子中学生ふたり。性別の枠組を超えることも、ロミジュリの物語は可能にします」

さらに、「マンガは日本の女性劇作家にも影響を与えていました」と米谷先生。

「劇団青い鳥は、高野文子さんや大島弓子さんのマンガにインスパイアされた作品を創作していた時期がありました。高野さんは、青い鳥の公演ポスターのイラストもいくつか手がけられています」

青い鳥は女性だけの役者とスタッフから構成された劇団です。 創立当初は劇団員全員で創作を 行い、舞台挨拶の最後に「作・演出一同礼!」と、全員で頭を下げたことからペンネームを「市堂令(いちどうれい)」としました(※1)。

好奇心の扉

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お話を聞いたのは

米谷郁子先生

昭和女子大学教授、バーミンガム大学大学院博士 米谷郁子先生

専門は英文学、およびその後世における校訂・受容・翻案研究。著書に、『愛の技法』『読むことのクィア』(以上、中央大学出版部、共著)、『今を生きるシェイクスピア―アダプテーションと文化理解からの入門』(研究社、編著)など。
「『女性劇作家』といった女性であることのみにアイデンティティを集約してしまう表現には抵抗感もあります。けれども同時に、ここ数十年の日本社会において、女性の劇作家たちが拓いてきた道がたしかにあるということも忘れてはいけません」

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