全身の要で健康状態を左右するのが股関節。放っておくと老化が進み、当たり前にできていたことが急にできなくなってしまうことも。目に見えず触れることもできず、なかなか意識しづらいですが、まわりに位置する骨や筋肉など、付近の構成を知っておけばイメージがつきやすくなります。運動生理学士である中野ジェームズ修一さんにお話を伺いました。
股関節がちゃんと使えているかはここをチェック!
まずは、股関節がきちんと使えているかどうかをチェック!日常動作から簡単なチェックをしてみましょう。
- 立って靴下がはけない
- 気がついたらがに股になっている
- 歩くとスカートがまわる
- 下っ腹が出ている
痛みなどの自覚症状がなくても、上記の項目にひとつでも当てはまる人は注意が必要。予防・改善のための対策が必要です。
また、予防・改善の対策をするうえで、股関節とはどのような関節なのか、構造などを知っておくことが大切。ここで、股関節の基礎知識をご紹介します。
そもそも股関節とはどういう関節なの?
「関節とは、ふたつの骨をつなぐ部分のこと。それぞれの骨の両端は筋肉にもつながっていて、その筋肉が伸び縮みすることで関節が動くという仕組みです。股関節は骨盤と大腿骨という大きな骨をつないでおり、数多くの筋肉とつながっています。関節には、重力に逆らって体を固定・保持する『支持性』と体を目的の場所に運ぶ『可動性』というふたつの作用があり、股関節はそのどちらも持っています。ほかの関節に比べても役割が多いため、関わる筋肉の数が多いのも納得ですよね」
股関節を構成する骨
股関節は骨盤と大腿骨をつなぎます。球状の大腿骨頭が寛骨臼(寛骨のくぼみ)にカポッとはまっており、ぐるぐると回すことのできる「球関節」となっているのです。
大腿骨頭と寛骨臼は、ぶつからないように表面が軟骨に包まれています。接合部分は関節包という膜で覆われ、その内部を潤滑油の役割を果たす関節液が満たします。
股関節を支える23の筋肉
関節はたくさんの筋肉とつながっており、数え方にも諸説ありますが、およそ23あると言われています。この数は人体に200以上ある関節のなかでもダントツ。ひとことで「股関節が痛い」と言っても、どの筋肉に問題が生じているかで症状も対策も変わってきます。
教えてくれたのは
米国スポーツ医学会認定運動生理学士 中野ジェームズ修一さん
東京神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」の技術責任者。「フィジカルトレーナー」の第一人者。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。『すごい股関節 柔らかさ・なめらかさ・動かしやすさをつくる』(日経BP)など著書多数。