じつは重要な役割を担っている股関節。放っておくと老化が進み、当たり前にできていたことが急にできなくなってしまうことも。まだまだあちこち出かけたい素敵世代。股関節について知っておき、しっかり鍛えておきましょう。股関節を鍛えることの大切さについて、運動生理学士である中野ジェームズ修一さんにお話を伺いました。
股関節のウソホントをチェック!
股関節にはどんなイメージがあるでしょうか? 一般的に言われていることのなかには、じつは誤った情報もあります。まずは、股関節にまつわるウソ・ホントについて解説します。
股関節の軟骨は擦り減ったら元には戻らない
△ 完全に戻らないけれど再生も可能
擦り減った軟骨は完全には元に戻りませんが、ある程度は再生します。軟骨はコラーゲンなどから構成されますが、関節内を満たす液体「関節液」によってそれらの栄養が運ばれ、軟骨に栄養が行き渡り修復される仕組みです。
180度開脚できるなど柔軟なほどいい
× やわらかすぎても怪我のリスクが高まる!
股関節のやわらかさは大切ですが、やわらか過ぎるのもよくありません。股関節がやわらかい=股関節を支える靭帯が伸びきっている状態であるため、体を支えにくくなり怪我のリスクが高まります。脚は90度開けばOK。
股関節を動かさないと余計痛くなる
〇 動かさないと軟骨がつぶれていき衝撃を緩和できなくなる
軟骨が関節液を吸うとクッションのようになり、それが関節にかかる衝撃や摩擦を軽減します。股関節を動かさないでいるとどんどん軟骨がつぶれていき、関節液を吸い込めず、衝撃を緩和できずに痛みを感じてしまうのです。
股関節がやわらかいほど脚が細くなりやすい
× 股関節のやわらかさと足の細さに因果関係ナシ
股関節を鍛えるためのエクササイズによって結果的に脂肪が燃焼されたり、股関節の動きがよくなることで活動量が増えたりすることはありえますが、股関節がやわらかいこと自体と脚の細さに直接の因果関係はありません。
股関節の動きをよくするにはたくさん運動したほうがいい
△ 同じ動きではなくいくつかを組み合わせるのがおすすめ
運動はもちろんしたほうがいいのですが、同じ動きばかりを続けるのは股関節に負担をかけるためよくありません。「8000歩歩く」ではなく、「5000歩歩く+10分筋トレする」のようにいくつかの運動を組み合わせましょう。
教えてくれたのは
米国スポーツ医学会認定運動生理学士 中野ジェームズ修一さん
東京神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」の技術責任者。「フィジカルトレーナー」の第一人者。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。『すごい股関節 柔らかさ・なめらかさ・動かしやすさをつくる』(日経BP)など著書多数。