美容のためにとることが多いビタミンA、B群は人によって注意が必要です
―お肌のためにビタミンAを飲んでいますが、これは大丈夫でしょうか?
ビタミンAは、目や肌や粘膜の健康を守り、感染症予防に効果が期待できるビタミン。発展途上国では乳幼児に欠乏症が多く、眼球乾燥症や失明の予防には効果があると言われています。小児のはしか死亡率減少も期待できます。そして、家族に乳がん患者がいる方の場合は、閉経前の乳がんリスクを下げるとも言われています。
一方で、進行性の乳がん治療には効果がなく、そのほかのがんでも効果は見られていません。逆に肺がんの場合、ビタミンAとB-カロテンを投与した患者の死亡率が高くなったというデータもあるので、該当する方は注意が必要です。
―葉酸などが含まれるビタミンB群は、女性を中心によく摂取を推奨されているので、とっていいビタミンなのでしょうか?
ビタミンB群には葉酸、B12、B6などがあり、確かに葉酸やB12は妊婦さんや貧血の治療には有効なビタミンで、循環器疾患にも有用という話もありますね。ビタミンB6は大腸がんのリスクを下げる研究結果も出ています。
一般的にビタミンB群は、動脈硬化や認知症のリスクを減らすと言われています。タンパク質は体内でメチオニンというアミノ酸に変わり、それがさらにホモシステインというアミノ酸に変ります。このホモシステインが血液中に蓄積すると、動脈硬化や認知症のリスクが高まりますが、ビタミンB群にはそれらを減らす効果があります。
厚生労働省の統合医療サイトe-JIMによると、ビタミンB群は血中のホモシステインを減らしてくれています。しかし、それらが虚血性心疾患や脳卒中、認知症に効いているというエビデンスはいまのところありません。一方で、ノルウェーで行われたコホート研究によると、葉酸やB12を長期間摂取した人のがんの総死亡率は増加していたというデータも。
葉酸やビタミンB12は循環器系疾患のある方や貧血の治療をしている人には有用ですが、そういった問題のないがん患者さんはとらない方がよさそうです。
ビタミンB6も、循環器疾患や大腸がんのかたには有用と言われています。ただ、その他のがん全般にはそこまで効果があるというエビデンスはありません。