60歳を過ぎたら量を増やすだけでなく質を高めることも大事
「コラーゲンは大事な成分」と漠然と知ってはいても、なにをしてくれる成分なのかイマイチわからないという人は多いはずです。「コラーゲンは体を構成するたんぱく質のひとつで、アミノ酸がつながった鎖が集まり、3重らせん構造を形成しているのが特徴。体のたんぱく質全体の約3割、肌の真皮の約7割を占めています」(資生堂・中西紘美さん)。「肌だけでなく骨、腱、内臓、目、血管など体のさまざまな場所に存在し、たとえば骨のしなやかさを保つ、角膜を作る、血管を支えて体内に栄養を行き渡らせるなどたくさんの仕事をしています」(東京農工大学客員教授・服部俊治さん)
では、肌においてはどんな役割があるのでしょうか?「肌のコラーゲンは主に、Ⅰ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅶ型などがあります。肌の骨格となるⅠ型、クッションのような働きをするⅢ型は、肌のハリや透明感に関わっています。また表皮と真皮の境目の基底膜を構成するⅣ型、基底膜と真皮をつなげるⅦ型は、潤いや透明感に関係しています」(中西さん)。つまりコラーゲンは、種類によって違う役割を果たしながら肌のハリ、ツヤ、潤いを支えているのです。
ところが加齢に伴って、肌や体のコラーゲンは量が減り、質も低下することに。「体内で量が多いⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型は、30歳くらいから減ってきて、60代では20代の半分に。コラーゲンは体内で壊され、また作られるという代謝を繰り返し、鮮度を保っているのですが、作られる量より壊れる量が増えるため半分になってしまうのです。そのうえ、残ったコラーゲンの3分の2は、柔軟性が失われてきます」(服部さん)。「肌のコラーゲンが減る原因は、加齢、紫外線、ストレス。なかでも大きな要因は紫外線です。紫外線を浴びると、基底膜のコラーゲンが分解される→弾力に関係する真皮のコラーゲンも分解される→シワやたるみにつながるという負の連鎖に。また、精神的ストレスを受けて分泌するホルモンがコラーゲンに影響を及ぼすこともわかっています」(中西さん)
そこで投入したいのが、コラーゲンをケアするサプリやスキンケア。「サプリメントで体内のコラーゲンを増やすことは可能です。とはいえ、摂ったコラーゲンが直接肌のコラーゲンになるわけではありません。口から摂取すると、胃の中でアミノ酸のつながりが切断され、できた単一のアミノ酸がコラーゲンを作る材料になります。さらにアミノ酸が2個つながったものは、肌の細胞に働きかけ、コラーゲンを合成する細胞の力を高めます。体内でコラーゲンを作るには、プロリン、グリシンといったアミノ酸が多く必要なのですが、食品でたんぱく質を摂るよりサプリを摂るほうが、これらのアミノ酸を効率よく得ることができます。またサプリは、消化吸収しやすい低分子のコラーゲンペプチドを用いたものを選び、ビタミンCや鉄分などのサポート成分とともに摂るのがおすすめです」(服部さん)
一方、スキンケアでは、「コラーゲンを肌に塗ったとしても、そのままでは分子が大きいため肌の奥までは届きません。純粋レチノールのように、肌の細胞がコラーゲンを生成するよう働きかける成分や、コラーゲンの分解を阻害する成分を配合するのが、いまの化粧品の基本的なアプローチ法です」(資生堂・原英二郎さん)。また、コラーゲンを美容成分として配合している場合は、分子を小さくするといった工夫をしていることが多いそう。
肌や健康に対する悩みが増える素敵世代にとって、コラーゲンはもはや不可欠な存在。「年齢とともに食べる量が減り、普通に食事をしているだけでは、コラーゲン生成に必要なプロリンやグリシンを摂るのが難しくなります。サプリメントで摂取するのは手っ取り早い方法です」(服部さん)。「コラーゲンが分解、産生を繰り返し代謝がきちんとまわることで、乾燥やシワ、たるみを防ぐことができるのです」(原さん)。
いつまでも若々しい肌と体でいるために、コラーゲンのある生活を始めてみませんか。
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文/入江信子
※素敵なあの人2025年1月号「大人女子の一生コラーゲンLOVE宣言」より
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