これまでのシニア層とはセンスも価値観も大きく異なるいまの60代。“新しい大人世代”としてどうありたいか、日々修行中のイラストレーター植草桂子さんのエッセイ。今月は「和食文化」のお話です。
SNSを見ていると素敵な家庭の和食を目にすることがよくある。頑張って作ってるなぁ、と感心するのだけど……あれれ、なんかおかしい。ご飯茶碗とお椀の位置が逆だ、残念! せっかくのインスタ映えする“本格和食”がいとも簡単に“なんちゃって和食”に見えてしまう。
私はイラストレーターをしているが、茶事の懐石料理人でもある。懐石料理は和食の中でもストイックで古典的だから、家庭料理と趣は違うが基本は同じ。だからつい、よそ宅の和食器の配置や箸の使い方まで気になってしまう(いやぁね、小姑みたい)。
でも意味あっての配膳だから、ぜひそれになぞった素敵な食卓を作って欲しいと思っている。
せっかく世界で認められた「無形文化遺産」を食べている国民だもの、誇りを持ってきちんと和食文化を守りたいじゃないの。
イラスト・文/植草桂子
※素敵なあの人2024年8月号「植草桂子の気分だけでも大人修行 vol.10」より
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