「これって健康にいいはず」と思い込んでいることも、実は効果がなかったり、やり方によっては逆効果になってしまったりすることも。皆さんがいいと思っていた健康常識のウソを、南雲吉則先生がズバッと解説してくれます!
今回は、「糖質制限より脂質制限のほうが痩せる」についてのウソを教えていただきました。
- A子さん
油をとると太りそうなイメージ。糖質よりも脂質を制限したほうが痩せますよね?
- 南雲吉則先生
いいえ、それ実は間違っています!
脂質だけでは太らない!糖質と組み合わせるのがNG
―糖質と脂質、痩せたいならどちらを制限するのが正しいのでしょうか?
カロリーで考えると、糖質は1gに4kcalなのに対し、脂質は1gに9kcal。一見、脂質を制限する方が痩せるには効果的なように思えます。
しかし、米、パン、めん、小麦粉、砂糖などの精製された糖質を食べると、血糖値が上昇します。それによりインスリンが分泌されて“糖輸送体”が稼働。体内の糖を脂肪細胞に押し込み、脂肪に変換してしまうのです。
しかし脂質は単独で摂っても太ることはありません。体内に分泌されたグルカゴンに反応して、脂肪細胞中の分解酵素が脂肪を分解。脂肪をエネルギーに変え、脂肪燃焼することができます。
肉やうなぎだけ食べる分には太りませんが、いっしょに米を食べてしまうことが肥満につながるのです。焼肉食べ放題に行っても、お米を食べなければ太りませんよ。つまり脂質よりも糖質を制限したほうが痩せるのです。
―糖質だけを食べるのであれば、問題ないのでしょうか?
精製された糖質には、必須栄養素がほとんど含まれていません。そのためエネルギーにはなりますが、使わないとそのまま脂肪になってしまいます。果物も栄養が多いのは皮で、皮以外は糖質ですので、皮ごと食べてください。
一方、肉にはタンパク質、ビタミンB、鉄分などの必須栄養が含まれています。また、魚には必須脂肪酸EPAやDHAが豊富。糖質ばかりを摂り過ぎると、必須栄養素が不足して病気になりやすくなってしまいます。
―例えばどのような病気のリスクが考えられますか?
肥満糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、認知症、がんなど、さまざまな病気のリスクが考えられます。