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年を重ねて似合うもの 60代からの大人の装い 素敵なあの人Web

素敵なあの人 2025年3月号

素敵なあの人 最新号

2025年3月号

2025年1月16日(木)発売
特別定価:1580円
表紙:結城アンナ

素敵なあの人 2025年3月号

公開日:

「美しいうえに着心地がいい」と多くの着物通をうならせる“光佳染織”の着尺と帯地をご紹介【目利きの視線】

各界の目利きが注目する器やアート、暮らしの道具を紹介。今回は、草木染めの織物について、gallery Futamuraの店主・二村智惠子(ふたむらちえこ)さんに教えていただきました。

その美しさ、軽やかさはまるで羽衣
光佳染織(こうかせんしょく)の着尺と帯地

草木の色彩と手織りの味わいどちらも楽しめる贅沢

「きれいでしょう? 〝光佳染織〟の着尺は肌映りがよく、年齢を問わず楽しく着ていただけます」と「gallery Futamura」店主の二村智惠子さん。上写真の着尺は「80に近い私が合わせてみても不思議と似合う。自分で言うのもなんですが(笑)、白髪に桜色が映えてうっとりしてしまいます」。

「光佳染織」は染織家・横内佳代子(よこうちかよこ)さんと代島光子(だいしまみつこ)さんが立ち上げた工房。「民藝のまち」で知られる長野県松本市にあり、おふたりが「着たい」と思う着尺や帯地を制作しています。草木染めのやわらかな色合い、多彩な手法を駆使して織り上げた緻密な柄は、多くの着物通をうならせるほど。当然、制作には大変な手間がかかり、桜や渋木で染める場合は枝や樹皮を細かく刻んで煮出すことからスタートします。生糸を染液に浸け、水洗いし、媒染、乾燥を繰り返して思った色に染め上げます。

その後、糊づけして木枠に巻き取り、本数と長さを揃えてようやく織機へ。私たちがイメージする機織りの作業は全体の2割ほどで、下準備に多くの時間を費やしています。素材となる生糸は同じく長野県の「宮坂製糸所」の座繰り手引糸(ざぐりてびきいと)を使っています。昔ながらの手法で繭から丁寧に引き出された絹糸は糸本来の縮れを残し、通気性、保温性に富むそう。

「ふっくらとした糸をやさしく丹念に手織りしているので、着心地が軽く疲れ知らず。初めて袖を通した日から着慣れて見えるのが嬉しいですね。糸が持つわずかな凹凸が光を四方に反射するのか、深みのある光沢にも惹かれます。いまから着付けを学ぶのは……と思われるかもしれませんが、素敵世代の皆さんなら私の年齢になるまであと20年近く。着物に親しむ時間は充分にあります。ぜひ楽しんでいただけたらと思います」

「桜 綾織座繰り糸着尺(あやおりざぐりいときじゃく)」

「桜 綾織座繰り糸着尺(あやおりざぐりいときじゃく)」。澄んだ桜色は、松本の工房近辺で剪定された山桜と渋木の枝から染めたもの。変わり市松の地紋に高い織りの技術がうかがえます。作品の価格などは「gallery Futamura」までお問い合わせください。1月の個展ではポーチやショールなど手に取りやすい小物も並びます。ぜひお楽しみに。

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お話を聞いたのは

二村智惠子さん

gallery Futamura店主 二村智惠子さん

約30年、出版・編集の仕事に携わる。夫の転勤先の富山でKAKI CABINETMAKER(家具メーカー)をはじめ、さまざまな作家と出会い、2013年12月、KAKI CABINETMAKERのショールームを兼ねたgallery Futamuraを開業。心躍る作品を求め、作家の工房を訪ね歩く日々。

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