数多くの俳優やアーティストを撮影してきた中川氏が、憧れのあの人やこの人から、トークと写真で本当の姿を引き出す「まことのはなし」。第11 回のゲストは、そのファッションや出演したドラマに中川さんも10 代のころから魅せられてきた俳優の浅野ゆう子さん。前編は、歌手デビューしたころのお話や、俳優として生きる決意をしたときのお話についておうかがいしました。
私にとって上質で普遍的なものがトラッドスタイルでした(浅野)
中川さん(以下敬称略) 「テレビドラマの影響もあり、浅野さんといえば、トラッドスタイル」の印象が強くありました。衿つきのシャツとかジャケットとか。それで今回はトラッドな衣装をリクエストしたのですが、いかがでしたか?
浅野さん(以下敬称略) 大好きなスタイルです。ダンガリーシャツのスタイリングは久々で、とても新鮮でした。
中川 元々トラッドがお好きだったのですか?
浅野 20代前半は「アライア」の攻めたワンピースなど、流行り物はひととおり着ていました。色は黒が中心でしたね。あるとき、私のクローゼットを見た母に「カラスがいるみたい」と言われまして。役者は自然体の自分を見てもらって役をいただき、その役を生きる仕事。だったら服もナチュラルにしていこうと、トラッドスタイルが中心になっていきました。30代になるころには上質で普遍的なものが似合う大人になりたいと、「アルマーニ」や「ラルフ ローレン」に憧れて。この2ブランドは、いまも大好きです。
中川 美しい型を知っているからこそ、型を破ったモードが生まれる。本物のトラッドを知っていらっしゃるから、浅野さんが着るとトラディショナルが素敵なモードになるのだと気づかされました。
浅野 ウエストがゴムのボトムスや楽ちんなシルエットも好きです。着心地がよく、体に無理がないアイテムは健康面でも大切ですから。でも、ときには少しシェイプされたアイテムでちょっとおめかしして食事に行く、そんな時間をもちたいなと思っています。
中川 浅野さんは13歳で歌手としてデビューされましたよね。小柄な方が多いなかで、ホットパンツをはいた浅野さんの大人っぽさは、いま見ても鮮烈です。
浅野 私、小学生で身長が160㎝を超えていたんです。可愛いアイドル歌手を目指していましたから年上に見られるのは嫌でしたが、でもあるとき大人っぽさを極めようと開き直って。20代前半はセクシーな水着のお仕事にも挑戦しました。おかげで「嫌いなタレント」の常連に(笑)。
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