不定期連載『まりこサロン』では、加賀まりこさんが「じっくりお話ししたい!」と思う素敵な大人と対談。今回は沢村一樹さんとの対談の後編をお届けします。まりこさんとはドラマ『南くんが恋人⁉』で共演。まりこさんは、NHKの連続テレビ小説『虎に翼』での沢村さんの演技を観て、改めてじっくり話をしてみたいと思ったそうで、今回の対談が実現しました!
転機となった作品は 『希望ヶ丘の人びと』
加賀さん(以下敬称略) 『偽装の夫婦』(15年)もいいなと思ったよ。
沢村さん(以下敬称略) 天海祐希さんとの共演はこのとき初めてでしたが、余計なことを考えなかったです。ふたりの台詞のかけ合いで、アドリブを言うとすぐ返してくれる。どう返ってくるかなって、お互い探り合いながらの本番も楽しかったですね。
加賀 そういうもんだよね。
沢村 40代後半に出演した深川監督の『希望ヶ丘の人びと』(16年)はひとつの転機でした。こういう風にやったら受けて面白いかな、ジーンとくるかなという演技を監督に見透かされ、なににもしないで空っぽにしてカメラの前に立つことを要求されました。
加賀 いいアドバイス!空っぽにして立つって、大事なことなの。いい出会いね。
沢村 僕は最初に言われたときはストレスだったけど、終わってみたらすごく楽しかったです。
加賀 私も若いころは絵的に映ればいいと思ったけど、ある日突然、浅利慶太さんから舞台『オンディーヌ』(1965年)に出ないかって。で、舞台に立ったら手も足も出ない。声の出し方もわからない。相手役は北大路欣也さんで、朗々とやってんのよ。同い年なのにできてる。それで初めて女優になりたいと思った。それからレッスンして。
沢村 僕なんかなにもしてないからな(笑)。
加賀 それがいい場合も研鑽を積んだからいい場合もあるし、わからない。監督と同じ感性だったらいいけど、違ったらね。こっちがどんだけへこもうが、監督は言ってくる。
沢村 加賀さん、へこんだことあるんですか?
加賀 ありますよ。蜷川幸雄さんを殺してやろうかと思ったよ、何度も(笑)。稽古の帰りに蜷川さんの車、足で蹴って(笑)
沢村 蜷川さんとの経験は役に立ちましたか?
加賀 立った。舞台『にごり江』(98年)で「もうひとつひねってから振り返れよ」って言われて。私は「すぐ振り向いたっていいじゃない」って思っちゃう(笑)。執着ないから。
沢村 そのことがわかるときがありましたか?
加賀 映像で舞台全体を引きで見て、〝間〟の問題だって腑に落ちた。
「ここ最近、すごく演技が上手くなったと思った。ひと皮剝けた?」
加賀まりこさん ジャケット¥228,800、ワンピース¥140,800/ともにヨウジヤマモト(ヨウジヤマモト プレス)、その他/加賀まりこさん私物




