山田風太郎さんの人気小説『八犬伝 上・下』を実写映画化した映画『八犬伝』が10月25日(金)より全国公開されます。
江戸時代に生み出された小説「南総里見八犬伝」の作者・滝沢馬琴を役所広司さん、馬琴と交流があった絵師・葛飾北斎を内野聖陽さんが演じ、28年にわたる創作への情熱を【実】パートとして描き出しました。それと同時に、馬琴が生み出す物語も【虚】パートとして進行。里見家の呪いを解くため、八つの珠によって引き寄せられた八人の剣士によるアクションや、彼らを取り巻く運命がVFXによって鮮やかに映し出されます。
共演に寺島しのぶさん、黒木華さん、土屋太鳳さん、磯村勇斗さんら主演級の豪華キャストが集結した、壮大なスケールのファンタジー時代劇。見どころを映画ライターの富田夏子が紹介します。
【見どころ①】馬琴と北斎の長年にわたる交流
【実】パートは滝沢馬琴と葛飾北斎が、互いに創作のインスピレーションを与えあう様子が軸となって進行します。史実としても北斎は馬琴作品の挿絵をよく手がけ、一時は馬琴宅に居候していたという説話もあるほど。変わり者の芸術家同士、こんなやりとりがあったのではないかという絶妙な関係性を、役所広司さんと内野聖陽さんが時に軽妙に、時に重厚感をもって再現しています。
【見どころ②】失明してまで物語を完成させた滝沢馬琴の情熱
「南総里見八犬伝」が創作されたのは1814年から1842年まで。実に28年の月日を費やし、作家・滝沢馬琴は106冊となる超大作を書き上げました。
その道のりは決して平たんではなく、“善と悪”をテーマに書き続けることへの信念が揺らぐ場面も。さらに、物語がクライマックスに差し掛かった頃には失明。一時は物語の完成を諦めようとする馬琴ですが、家族の助けもあり、執念に近い情熱をもって物語を書き続けます。
滝沢家に対しても創作活動に対しても強い信念があり、その苦悩や家族に対する想いなど創作の裏側を見ることができます。
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