現在落語は、多くの人に愛されてきた古典落語に加えて、 同時代を生きている私たちが共感できる新作など、噺のバラエティも豊かになっています。さらに男性中心だった落語界で、女性の落語家も増え、今や引っ張りだこに。今回は日本で唯一の演芸専門誌『東京かわら版』の編集長佐藤友美さんに、女性らの落語家についてその魅力を教えていただきました。
女性落語家の視点が生きる語り口と創作
2021年、女性で初めて、 NHK新人落語大賞を上方落語の桂二葉さんが受賞しました。 男性中心に継承されてきた古典を、女性の視点から語る二葉さんに注目が集まり、いまや、さまざまなメディアで人気者に。
「チケットの取れない落語家」 のひとりとなり、全国で開催される落語会にひっぱりだこです。
「かつて女性落語家は、ルックスや落語家になるまでのキャリアなどが物珍しがられ、芸とは関係のないところで注目を浴び ることもありました。なかには、『女性の弟子は取りたくない』と明言する師匠も珍しくありませ んでした。女性落語家の人数は、40年前は大阪にひとり、東京にふたりほどでしたが、いまでは50人近いのではないでしょうか。女性の演者が増えたことによって、女性であることがプラスにもマイナスにもならず、演者自身の力量だけで勝負ができる喜ばしい時代になりました」
そうした女性落語家のひとりとして、佐藤さんが教えてくれたのは、弁財亭和泉さん。
「忙しく働く女性の、いつのまにか重くなっていくバッグをネタにした『女の鞄』という新作には、思わず膝を打ってしまいました。『次に読む本をもう1冊入れておかなくては!』という台詞は、どこかで私を見てたの? と思うくらい。心に刺さりましたね(笑)」
新宿末廣亭
住所:東京都新宿区新宿3-6-12
電話番号:03-3351-2974
suehirotei.com
撮影(新宿末廣亭)/久家靖秀 構成・文/杉村道子
※素敵なあの人2024年10月号「女性の共感を呼ぶ噺の世界が広がっています! もっと落語を楽しむために 知っておきたい5つのこと」より
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教えてくれたのは
『東京かわら版』編集長 佐藤友美さん
東京都渋谷区恵比寿に生まれ、育つ。いまはなき浅草の国際劇場の隣で旅館を営んでいた祖母の影響で、幼少のころより古典芸能(歌舞伎、日本舞踊、邦楽、相撲)に親しむ。明治大学文学部仏文学専攻を卒業後、愛読していた『東京かわら版』で「アルバイト募集」の記事を見て応募。採用後、正社員になり、2004年より編集人を務める。落語のほか、現代美術やコンテンポラリーダンスなどを観るのも好き。なにかを鑑賞することにかけてはフットワーク軽く、手間暇を惜しまないのが信条。自社の刊行物だけでなく、落語に関するさまざまな書籍の編集協力も多い。単著としては『ふらりと寄席に行ってみよう』(辰巳出版)を刊行。