英国生まれの物語にお約束のように登場するのが、アフタヌーンティーをはじめとするお茶の時間のエピソード。貴族から庶民まで、それぞれのクラスの日常で紅茶がいかに愛されているのかが伝わってくるようです。
そこで、ティータイムの名場面の見どころや面白さの秘密を映画やドラマでティータイムの場面監修も手がけるCha Tea 紅茶教室の講師の方々に伺いました。自分でお茶会を開くためのコツもご紹介します。
英国の物語から読み解く、 ティータイムの上手な楽しみ方【好奇心の扉・前編】
マナーから茶器まで階級によって違う描写に注目して
かつて、エリザベス二世は朝の紅茶を召し上がってから1日を始められたといいます。
「日本で『お茶をする』というとおしゃべりを楽しむようなイメージがあります。でも英国人にとってティータイムは、短時間でリフレッシュしたり、大切な話をするための習慣なんです」と立川さん。
「人気の英国ドラマ『ダウントン・アビー』にこんな場面があります。気がかりなことがあり、当代の伯爵である息子の妻コーラと話がしたい先代の伯爵夫人は、アフタヌーンティーの約束をして訪問します。ちょっとした用件のときこそ、ティータイムがいいんです。ディナーだと3~4時間コースになってしまいますから。そして、その意図を察したコーラはふたりきりになれるよう、庭にテーブルをセッティングしておもてなしをします。つねに使用人に囲まれている立場ならではの振る舞いですし、親子といえどもマナーを重んじる点も貴族らしいですね」
そして、ティータイムは「基本的には、前向きな明るい会話を心がけるのがマナー」と立川さんは続けます。
「噂話に花を咲かせたり、ついゴシップの話題に走ってしまうというのは、ドラマや映画では庶民的な場面の描写に多いですね。そういう階級らしさの描き分けも見どころかもしれません」
階級差は、使用する茶器の質やデザインにもあらわれます。『ダウントン・アビー』でも、貴族のテーブルにはクロスが敷かれ、銀のティーポットや優雅な絵柄が写された華やかなデザインのボーンチャイナ。対照的に、使用人たちが手にするのは、クリームウエアと呼ばれる白い陶器でシンプルなものです。
「ただ使用人でも、家政婦長さんや執事になると自室があり、その室内ではティーセットも上質なものを使っていますね」
お茶会で大切なのは心が豊かになる会話のテーマ
「紅茶そのものに興味がある方はもちろん、私同様に英国文学から惹かれた方、『お茶会は大人のおままごと。いまなら本物で楽しめる』とティーセットのコレクションから興味を持たれる方。皆さん、好きなものへの集中力が素晴らしくて、ある受講生の方からは、『フルコースで人生を例えるなら、いまはデザート期だから楽しまなくては』という名言も伺いました(笑)」
もしも、自分もお茶会を開いてみたくなったら、なにから始めたらいいのでしょう?「招く方のためのおもてなしを考える時間を楽しみましょう。特に、会話のテーマは大切です。盛り上がりそうな話題の糸口として、素敵な茶器、軽食やスイーツがあると思ってください。揃いの茶器でなくても、お客様ひとりひとりに合ったカップ&ソーサーをお出しして、その由来や選んだ理由をお伝えするのもいいですね。
スイーツもすべて自分で用意しなくても『モンブランを食べる会にしましょう』とお誘いして、それぞれが好きなモンブランを持ち寄る。それが特別感にもなります。まずは気の合ったお相手を見つけて小さなお茶会を開くのはどうでしょうか? そこから輪が広がっていけば仲間も増えますね」
〈英国の主流はミルクティー 香りとカップの絵柄を楽しむためには紅茶をお先にどうぞ〉
写真の器は、スポード社の「ブルーイタリアン」。「1816年に発表されたシリーズで、200年以上愛されているベストセラーです」と講師の金田さん。英国の紅茶といえば、階級に関係なくミルクティーでいただくのが主流ですが、よく話題になるのが、「ティーカップに注ぐのはミルクが先? 紅茶が先?」という疑問。一般的に上流階級では、紅茶の香りとともに、カップの内側に描かれた絵つけの美しさを楽しむために、紅茶が先だと言われています。また、ミルクを必要以上に加熱しないほうが、紅茶の風味を損ねないという説もあるそうです。
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