朗読は「声に出して読む」ことで、文学作品の世界が深く広くなり、いままで知らなかったような自分の声と出合うきっかけにもなると『朗読のレッスン』の著者、松浦このみさんは言います。
元アナウンサーである松浦さん自身が、どのようにして朗読に興味を抱き、惹かれていったのか。その軌跡を辿りながら、物語を読み解き、さらに自分の声で表現する魅力をご案内します。
聴く人のイマジネーションを広げる読み方を目指す
松浦さんに話を伺いながら、まず気づいたのは、その心地よいアルトボイスでした。ただ、ご本人は子どものころから声が低いと言われ、コンプレックスだったそうです。
「大学時代に所属したアナウンス研究会で録音した自分の声を聞いたときには、あらためてショックでしたね。でも、そこから『声』を意識し始めて、『この人の声、好きだな』といった、自分なりの声に対する尺度が芽生えました。アナウンス研究会の活動では発声訓練や、滑舌練習文・ニュース原稿を読んだりしたのですが、朗読もそのレッスンのなかで出合いました」
特に朗読に関心を持ったきっかけは女性の先輩が参加した、ある歴史上の女性をテーマとした音楽会でした。演奏が始まる前に、先輩がその女性の人生について語り、場内をその物語の世界に自然に誘ったのです。
「客席を包み込むような語りの力に心が震えました。そして、自分もこんなことができるようになりたいと思い、年に1回の発表会では朗読班に所属。朗読の教室にも通い始めたんです」
松浦さんが朗読するときに大切にしているのは、聴く人にとってイメージを描きやすいような声を届けること。
「聴いているときに気にさわる〝なにか〟があると、それが邪魔をして、聴く人のイマジネーションを遮ってしまうんです。『上手いけどわざとらしいな』とか『いい声だけど退屈』とか。だから、気持ちよく聴いていただくためには工夫が必要です。たとえば私自身はアナウンサー出身なので、どうしたら俳優さんのような真実味のある台詞が言えるのか、ということがいまも課題。だから、演劇畑の方にレッスンを受けています」
学生時代からいままでレッスンを絶えず学び続けているという松浦さん。練習をすればするだけ、人は変化に富んだ豊かな声が出せるようになると実感しているそうです。
「高い声も低い声も出せるようになります。それも、作っているわけでなく、あくまでも自分の声で。たとえば表情を笑顔にすると頰が上がり上あごに声が当たりやすくなって、声が明瞭に高いトーンで響きます。また、口を縦長にするとちょっと深みが出るんですよ。誰でも自分のいいと思える声に響きを変えていけると、私は信じています」




