コメディからシリアスまで、縦横無尽に表現してきた稲垣吾郎の次の作品は、1942年の初演以来、繰り返し上演されてきたノエル・カワード作『プレゼント・ラフター』。大人のラブコメディとされる作品について、そして人気俳優にして“大人げない主人公”、ギャリーという役柄について語っていただきました。今年1年の包括、来年の抱負まで、飾らない稲垣さんのメッセージをお届けします。
演劇ぐらいはある程度自由に、ちょっと不謹慎さがあってもいいんじゃないかな
――『プレゼント・ラフター』という演目、そしてギャリーというスター俳優を演じることについて、現時点でどのような印象を持っていますか?
「作品として最初に上演したのが1940年代ということで、80年も昔の演劇なのに、普遍的な面白さがあるというか。当時、こんな内容の作品をやっていたというのも、すごいなと思いました。現代の人と考えてることはそんなに変わらないし、これを当時やってたっていうのは、本当にスキャンダラスで刺激的で、見てはいけないものを見ているような楽しみがあったんじゃないかな。演劇ぐらいはある程度自由に、ちょっと不謹慎さがあってもいいのかなっていう(笑)。笑いも込みでね。これをちょっと現代風にして、どう作り上げていくのか、今からとても楽しみです。ノエル・カワードさんについては、演劇は見たことは僕はないんですけれど、かなり古い映画で『逢びき』を観た記憶があるぐらいなので、また勉強し直そうという感じですね。役については、俳優役というのが面白い。自分も俳優だからこそ、まぁ、わからなくはないな、みたいなところもあります。私生活でもつい演じてしまう、ちょっと仮面をかぶってしまうといったようなことは、やっぱり俳優さん……いや、俳優に限らないか。きっと、誰でもそういう面って持っていますよね。台本を読むと、ギャリーってすごいイラチなんです(笑)。いじわるなようで優しいところもあり、愛されキャラというか、人間的で生き生きとして非常に魅力的だなと思いました」
――人気俳優ならではの孤独感なども描かれますが、共感できる部分はありますか?
「いや、そこはあんまり。自分一人で全部背負ってやっているような責任感の強い人間だと、ふと振り返った時に孤独だなっていう風に思うこともあるんでしょうね。僕は自分一人で全部やろうとは思っていないし、分業制というか、みんなで作り上げるという意識でいるので。この作品のギャリーさんは自分でマネージメントもしている感じだし、状況が現代の自分とは全然違う。なので、俳優だから孤独みたいなことは、特に僕はそこまで感じていない。そこまでストイックじゃないのかもしれないですね(笑)」
――東京PARCO劇場は10年ぶりということですが、思い出などもお聞きしたいです。
「最初にPARCO劇場の舞台に出たのは、つかこうへいさん原作の『広島に原爆を落とす日』という演目でした。初演は紀伊國屋サザンシアターで、20代でした。自分にとって初舞台というわけではなかったのですが、とにかく膨大な台詞量のつかさんの芝居というのが、大変でもあり、自分にとっては演劇に踏み込んだ第一歩みたいな感じで、そこから舞台が好きになったんです。それからは、いつもお世話になっている劇団ラッパ屋の鈴木聡さんの作品が多かった。ミュージカルの『恋と音楽』シリーズなど、何度も立たせてもらいました。以前のPARCO劇場の、確か下手側ではけたところに大きな楽屋があって、主役の人はそこを使うんですよ。むしろ、そこしかないって感じなんですけど(笑)。僕一回、美輪明宏さんの作品のあとに入ったことがあって、楽屋に残っている美輪さんの香水の香りが残っていたことがありました。存在感をそこに残すかのようで、なんとも言えない緊張感でしたね(笑)。あと、舞台上から見て、空席のときは椅子の背もたれに残る跡がハート型に見えるっていうのも、PARCO劇場“あるある”でした。赤いシートに白い跡があって、それもまた歴史を感じさせてくれたなぁと、今思い出しました」
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