大人の美容学第2弾は、誰もが一度は悩んだことがある乾燥について。年齢が上がるにつれて乾燥しやすくなるわけは? 乾いた肌の内側ではなにが起こっているの? 効率のいいお手入れ法は? 原因と対策を知って、いつでもしっとり、潤いでツヤめく肌を目指しましょう。
大人の美容学とは……
肌の老化やシミ、シワの原因から、化粧品の成分やその役割まで、意外と知っているようで知らない美容のこと。「大人の美容学」では、美容の知識を増やし、納得して化粧品を選んだりケアを行ったりできるような学びの企画を不定期連載でお届けしています。
年齢を重ねると乾燥しやすくなるのはなぜ?
バリア機能が弱れば肌は一気にカラカラに!
昔に比べて肌が乾く。冬にはカサカサがひどくなって、粉を吹いたりかゆくなることも。なんて思い当たりませんか。年齢を重ねると、こんなふうに肌が乾燥しやすくなるのはなぜなのでしょう。
「個人差や部位差はありますが、一般的に肌の角層の潤い成分、天然保湿因子(NMF)の量は、加齢によって減少します。NMFはセラミドなどとともに肌のバリア機能を司っていて、肌の内側の水分を逃さない役割を果たしているので、NMFが減れば、バリア機能が弱り、乾燥が進みます」(ポーラ大石貴矢さん・以下同)。また肌表面にできる皮脂膜も潤いを保つ働きをしていますが、皮脂量も年齢が上がるにつれて減少するため、やはり乾燥のきっかけになります。
この傾向は、屋外、室内とも空気が乾く冬にはさらに加速。
「冬は湿度が下がるので、肌の角層の水分量が低下しやすくなります。冬が近づくと同じケアをしていても乾燥感があるのはその現れですね」
それから紫外線や不規則な生活習慣によって肌に発生する酸化ストレス、目に見えない弱く慢性的な炎症もバリア機能にとっては脅威!
「バリア機能が高い肌の角層は、きれいな形をした角層細胞がすき間なく並んでいます。この構造を保つには、細胞と細胞がしっかりつながっていて、かつ適切なタイミングで切断されて剝がれ落ちることが大事。その切断する酵素の働きに悪影響を与えるもののひとつが、酸化ストレスや微弱な炎症です」
乾燥には角層だけでなく、肌のより深い部分の変化も関わっています。
「角層の下の表皮の顆粒層には、細胞と細胞を強固に結びつけるタイトジャンクションという構造があり、内部からの水分の蒸発を防いでいますが、この機能が弱まることも乾燥の引き金に。たとえばアトピー性皮膚炎の方は、タイトジャンクション機能が低下していることが知られています」
またエイジングなどによる真皮の変化も乾きと無縁ではありません。
「真皮はコラーゲンやエラスチンといった線維構造で埋め尽くされています。線維構造は加齢や生活習慣の影響で糖化(肌のタンパク質と糖が結びつく現象)し、AGEsという物質が作り出されるのですが、糖化も肌の水分保持機能低下と関係しています」
こうした肌の乾燥がひどくなるのは、いったい何歳くらいから?
「個人差があるので一概にはいえませんが、素敵世代でお手入れをきちんとしていなければ、バリア機能のダメージからの回復が遅くなり、水分量が低下する可能性は充分あり得ます」



