歌舞伎の舞台を撮影し、映画館で楽しむ「シネマ歌舞伎」の最新作『歌舞伎 NEXT 朧の森に棲む鬼』が、2026年1月に東劇・新宿ピカデリーほか全国54館で公開されます。その公開に先がけて行われた完成披露上映会には、Wキャストで主人公・ライ役を務める松本幸四郎さんと尾上松也さんが登壇。おふたりは作品の見どころから上演中のエピソードまで、尽きることなく語ってくださいました。
銘打たれた「歌舞伎 NEXT」とは、歌舞伎の新たなステージを目指すシリーズであり、本作はその第2弾。シェイクスピアの名作『リチャード三世』などを下敷きにした、嘘と欲望に支配される男の物語を、劇作家・中島かずきさん、演出家・いのうえひでのりさんとともに作り上げた作品です。
その趣向のひとつとして「今回、初めての試みとして、義太夫の語り方・囃し方と、岡崎司さん(率いるミュージシャンの)バンドがひとつのチームとなって曲を作り、芝居の中に入れ込みました」と幸四郎さん。
今回、初めてライ役を演じた松也さん。その手応えを伺うと「何も考えなくても演じているうちに、物語の中にどんどん吸い込まれて悪に染まっていくような感覚がありました。幕が開いて閉まるまで、本当にあっという間」だったそうです。
また「ライは舞台に出るたびに衣裳も変わり、化粧も少しずつ変わって雰囲気が変化していきます。だから、出ていない場面も裏で走り回っていました」と裏話も披露してくださいました。
大きなスクリーンで衣裳やメイクアップのディテールまで堪能できるのは、シネマ歌舞伎ならではの醍醐味。なかでも今回の大きな見どころは、ひとつの作品の中で「ここまで人は変われるのか」と驚かされる、主人公ライの見事な造形です。
クライマックスの宙乗りでは、シネマ歌舞伎ならではの迫真のクローズアップも。「シネマ歌舞伎のための収録当日は、新橋演舞場で客席スペースも使い、2日間で20台以上のカメラを設置して撮影しました。その迫力もぜひ楽しんでほしい」と幸四郎さん。幸四郎版・松也版と異なるカメラアングルで収録されている場面があるのも心憎い演出です。
幸四郎さん、松也さんというふたりのライが躍動し、悪の魅力を放つ『歌舞伎NEXT朧の森に棲む鬼』。その公開に期待が高まります!
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