乾燥が深刻になり、肌がかたくツヤを失いがちな成熟世代こそ使いたいアイテムが、「オイル」です。成熟世代になぜオイルがいいの? その疑問を解く最初のキーワードが「皮脂」。加齢で皮脂量が減ると、肌にはなにが起こるのか。それをどう補えばいいのか。皮脂を理解することが、オイル美容の第1章です。
皮脂不足を補うだけじゃないマルチプレイヤーなオイル
エイジングサインがはっきりと現れ、肌質まで変わったような気がする60代。成熟世代の肌の変化と、それに対応するケアを、ハーバー研究所の国府田淳さんに教えてもらいましょう。
「60代の肌悩みで上位に挙がるのは、シワやたるみですが、乾燥もかなり深刻に。すべてが加齢によって肌の機能が低下することに起因します。たとえば、細胞の働きが衰えるとハリや弾力の基盤となるコラーゲン量も低下。ある研究データでは、60代の皮膚中のコラーゲン量は20代の半分程度になるとの報告もあります。また、肌の潤いを保つために欠かせない皮脂量も、女性は40代をピークに大きく低下して、男性以上に乾燥が顕著に。これも加齢によって皮脂腺の細胞機能が衰えることが影響しています」
若いころはテカリの原因として嫌っていた皮脂こそ、肌の潤いややわらかさ、ツヤのカギを握る存在だったのです。
女性ホルモンの減少も皮脂の減少に関わっています。
「女性ホルモンのエストロゲンには肌のコラーゲンやヒアルロン酸を作る働きもあるとされています。更年期を過ぎてエストロゲンの分泌が減るとコラーゲンやヒアルロン酸の産生が減り、肌の水分保持機能が低下。一方、女性ホルモンのプロゲステロンには皮脂の分泌を促す働きがありますが、更年期でプロゲステロン量が低下すると、皮脂の分泌も減り、乾燥が一気に進みます」
肌の内側ではヒアルロン酸が減り、表面では皮脂量が低下することで乾燥や肌荒れ、くすみや小ジワの原因に。そんなトラブルを防ぎ、もっちりツヤ肌へ導くのが美容オイルです。
「オイルは皮脂の代わりになって不足する油分を効率よく補い、素肌の潤いとハリを守ります。さらにほかには、爪や頭皮の乾燥ケアをしたり、髪をコーティングしてツヤを出して手ざわりをよくしたり。ベースメイクに混ぜて使えば、密着感を高めることも可能です。純度が高くて酸化しにくく、軽やかで肌なじみのいいオイルは、老若男女、あらゆる部分に心地よく使えるマルチプレイヤーなのです」
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