あなたは、終活について考えたことはありますか? 「自分にはまだ早い」なんて思っていませんか? じつは終活は、60代のいまこそ始めるべきものなんです。今回は終活のなかの「住まいについて」、専門家である司法書士の太田垣章子さんに伺いました。
住まいについて考える
大きな環境の変化こそなるべく早い決断がベター
数ある終活リストのなかでも、住まいに関することは最優先事項だと、太田垣さんは言います。
「残りの人生を考えるうえで、住環境を整えることはとても大切です。多くの人が、いまの家に住み始めたころとは状況が変わっているはず。子どもが巣立ったあと家が広過ぎて掃除が大変、使わない客間が物置状態になっている、昔買ったものが押し入れやクローゼットに押し込められている等々。快適に暮らすには、状況に合わせて環境を変えていかなくてはなりません。
そのためには持ち物を大きく見直してみたり、家をリフォームしたり、引っ越しをしたりすることを視野に入れてもいいでしょう。環境を変えるのは簡単なことではありませんが、60代ならそれを行動に移せる気力と体力があります。そして、変化した環境に慣れる順応性もあります。70代、80代になったら、いまと同様にはいきません。現在の住環境が快適か、自分はこれからどう暮らしたいか、改めて見直してみましょう」
断捨離®をして、暮らしをコンパクトにする
過去に買った服や靴、鞄などがたんすの肥やしになっていませんか?捨てられない気持ちもわかりますが、あなたが亡くなったら、それらを誰が片づけるのかを考えてみてください。ものが減れば気分もすっきりし、あなたの生活環境自体もよくなります。私の経験上、断捨離®ができるのは60代まで。後まわしにすればするほど捨てられなくなるので、ぜひいまのうちに取り組んでいただきたいです。
自分の趣味や好きなことから、新しい住まいについて考える
住まいを見直すときに、自分の趣味などから考えるのもひとつの手です。たとえば、家庭菜園をしながらのんびり暮らしたいなら、いま住んでいる家をダウンサイズして、かわりに庭を広くする。旅行に行くのが好きなら、空港にアクセスのいい場所に引っ越す。そんなふうに、「どんなふうに暮らしたいか」「日々なにをして過ごしたいか」を考え、好きなことやワクワクすることから新しい環境を検討してみてもいいかもしれません。
理想の終の棲家について考える
あなたには「最期は自宅で迎えたい」「自分に合った施設で過ごしたい」など、人生を終える場所の希望はありますか?それを叶えるためには、後になって考えるのでは間に合いません。60代のうちから準備を始めておきましょう。
自宅の場合
自宅で最期を迎えたいという人は多いもの。住み慣れた場所で安心できますが、病院や施設に比べると設備が充分ではありません。体の自由がきかなくなったときに備えて環境を整える必要があります。家が介護ベッドを置ける間取りになっているか、その地域は介護サービスが充実しているかどうかなど、チェックしておきましょう。
施設の場合
施設なら、どんなところに入りたいかを考えておくと◎。住環境、ほかの入居者との関わり具合、食事内容など、施設によって形式が大きく異なります。おすすめは60代のうちにいくつかの施設を見学しておくこと。80代を過ぎると現実感が増して、見学すること自体に抵抗を感じる人が多いので、フットワークも軽いいまのうちにリサーチを。
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