【見どころ2】恐怖すら感じる!佐藤二朗の怪演と山田裕貴のぶつかり合い

コメディからシリアスまで何でもこなす佐藤二朗さんですが、『爆弾』のなかでは不気味な態度で捜査をかく乱する「スズキタゴサク」そのもので、観ながら恐怖を感じるほどでした。歯並びが悪く少し黄ばんだ歯、二重あごに無精ひげ、坊主頭に10円ハゲ、荒れた指先といった見た目もそうですが、彼ひとりに警察が翻弄され束になってもかなわないような存在感を放っていました。制作スタッフのコメントによると、佐藤さんは事前の「本読み」段階で膨大なセリフをすべて暗記してきており、俳優部の士気を上げたうえで本番に挑んだのだとか。

対する警視庁捜査一課・強行犯捜査係の刑事、類家(るいけ)を演じるのは山田裕貴さん。交渉のプロとしてスズキタゴサクの取り調べを担当します。もじゃもじゃ頭に丸メガネ、スーツに真っ白なスニーカーという冴えない見た目ですが、鋭い観察眼と推理力を持っています。佐藤二朗さんとのセリフの応酬は臨場感あふれ、会話劇を盛り上げます。
【見どころ3】心理戦×アクション×社会派エンタメのバランスが見事

取調室での手に汗握る心理戦・頭脳戦だけでなく、ダイナミックな爆破シーンやアクションも見もの。心理戦はスズキタゴサクと警察との間だけで繰り広げられるだけではなく、警察内部でもそれぞれ立場や性格による思惑や駆け引きが交錯します。

外回りの警察官による捜査は爆破事件の危険と隣り合わせで、取調室とはまた違った緊張感があります。また、犯罪の背景には社会的弱者が抱える問題もあり、SNSの活用や観客に問いを突きつけるようなシーンもあり、社会派エンタメの要素が加わって重厚なつくりになっています。

予告映像を見たときから「絶対に観たい!」と思わせる内容でしたが、実際は想像していた10倍おもしろい作品でした。ぜひ劇場で手に汗握ってください。
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