「もう一度学びたい」から、人生はまた始まる。
亡き夫の残したメッセージに背中を押され、若い頃に抱いていた“大学で学ぶ”という夢を、70歳で叶えた文子。実は、市毛さんご自身も40歳のときに登山を始めたそう。
「50歳くらいの頃に出した書籍のあとがきに、『いつか大学に行って、ちゃんと勉強してみたい』って書いているんですよ。まだ実現できていないけれど、文子がそれを叶えてくれました(笑)。私だけでなく、きっとそういう思いを持っている人は多いのではないでしょうか」

文子の姿を通して、学び直すことの意味を改めて感じたという市毛さん。
「若いころの勉強はひとつも楽しいと思えなかったけれど、大人になってからの勉強って、本当に楽しいんですよ。中学のときの先生に、『いつか勉強したい時が来るけれど、その時には頭が追いつかないから、今やりなさい』って言われたんです。当時は『そんなこと言われてもね』って思っていましたが、今になってみると、あの言葉は正しかったなと思います。今は“老後”と呼ばれる時間が長くなりましたよね。子育てや介護などが一段落して、心が落ち着いたときに、もう一度新しい一歩を踏み出すって、とても素敵なこと。だから私は、いくつになっても遅いことはないと思っています」
劇中では、若い学生たちから“文ちゃん”と呼ばれ、授業で積極的に質問したり、仲間と笑いながらキャンパスを歩いたりと、学生生活を満喫する文子の姿が描かれている。
「私は、年下の友人も多いのですが、こちらが垣根をつくらなければ、若い人たちも気軽に寄ってきてくださる。世代を越えて関わり合える関係って、やっぱりいいですよね。それなのに今は、どこかで世代で分けようとする風潮がありませんか? 若い人たちは“年上のことは分からない”と思い込んでしまったり、逆にこちらは“最近の若い人は行儀が悪い”なんて決めつけてしまったり……。けれど、実際にきちんと話してみると、みんな素直で真面目なんです。世代の壁で距離を置いてしまうのはもったいない気がします」
拓磨の恋人・紗季(八木莉可子)ともすぐに打ち解け、世代の違いを感じさせないほど自然に距離を縮めていく姿も印象的だった。

「拓磨と紗季は恋人同士でしたが、たとえば“嫁と姑”や“家の中での立場”みたいなものは、もうなくなればいいのに、と思います。日本は家制度がなくなって何十年も経つというのに、相変わらずその感覚を抱えているところがありますよね。息子のお嫁さんを、 “年の若いお友達”だと思ってみるとか、気持ちの持ちようを少し変えるだけできっと違ってくるはず」
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